"遺品を捨てられた妻✕翌朝土下座する義母" 第9話
「証拠があるのかよ!?」
夫の嘲笑うような声が響いた。
「はお袋の座に入ったんだ。警察が来ようが裁判になろうが、類のじゃお袋が主犯なんだよ! 俺を巻き込むな! 俺が倒れたら、誰がお袋の老の面倒を見るんだよ!?」
ドサリ、と何かがに崩れ落ちる音がした。
「あんた……自分の母親を、代わりにする気なの……?」
義母の擦れた、絶望に満ちた声。
「嫌なら実印をさせろ。の朝までに真由を説得しろ。さえ売れれば、百万なんて返して全部チャラにしてやるからな」
バタン、と斎のドアが乱暴にく音がした。 夫が苛った音をてて、玄関へとていく。 夜のへ、残りの策か、あるいは酒を煽りにかけたのだろう。
廊に、苦しい静寂が戻った。
私はゆっくりと寝のドアをけた。
暗い廊の突き当たり、斎のに、義母が力なくへたり込んでいた。 品に取り繕っていたはずのカーディガンははだけ、髪は乱れ、虚ろな目で宙を見つめている。 その両は、刻みに、カタカタと震えて止まらなかった。
音に気づいた義母が、ゆっくりと顔をげた。
そこにあったのは、昨まで私を見し、支配しようとしていた傲な姑の顔ではなかった。 信じ切っていた最の息子に、最の最で崖から突き落とされた、れな老の残骸だった。
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義母の乾いた唇から、掠れた声が漏れた。
「……真由さん」
うようにして、義母が私の方へとづいてくる。 そのには、震えるスマートフォンが握りしめられていた。
「拓也が……あの子がね……全部、私のせいにしろって……」
涙が、義母の皺だらけの頬を伝い落ち、のへと落ちていく。
「メッセージが……残ってるのよ。あの子が私に、お母さんを騙せって指示してきた文面が……全部、ここに残ってるの……」
義母はスマートフォンの画面を私へと差ししながら、膝から崩れ落ち、をに擦り付けた。
「助けて……真由さん、お願いだから……あの子は、あの子は悪魔よ……!」
に額を押し当てて咽び泣く義母を見ろしながら、私はお腹のふくらみにそっとを添えた。
母の遺品を捨て、座をしてまで隠そうとした秘密の、最の蓋がいた瞬だった。
義母が差ししたスマートフォンの画面を、私は指先つ触れずに見つめた。
青くる液晶画面に並んでいたのは、夫から義母へと送られた、吐き気を催すほど々しいメッセージの履歴だった。
『真由に気づかせるなよ』 『お腹の子の検査代だって言えば、お義母さんは絶対にをす』 『座におが入ったら、すぐに俺の個座へ移してくれ』 『真由には絶対に言うなよ。あいつは余計な配をするとうるさいから』
画面をスクロールする義母の指先が、刻みに震えている。
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に擦り付けられた額から、じっとりとたい汗が畳に染みを作っていた。
「……これ、全部残ってるのよ」
義母の声は掠れ、喉の奥で刻みに震えていた。
「あの子に言われた通りにしただけなの。会社の危を乗り切れば、すぐに返せるからって……でも、あの子、さっき私に『全部お袋が勝にやったことにしろ』って……自分の母親を切り捨てる気なのよ……!」
私はさく息を吐きし、エプロンのポケットから自分のスマートフォンを取りした。 無言のまま、義母の画面に表示されたメッセージの束を、端から順に撮していく。
カシャ、カシャと静かな廊にシャッター音が響くたび、義母の肩がびくりとねた。
「真由さん……許して、お願いだから警察には言わないで……! 拓也に……あの子に全部責任を取らせて……!」
「お義母さん」
撮を終えた画面を伏せ、私はえ切った声で言った。
「勘違いしないでください。あなたが息子に裏切られてだから、許すわけではありません」
義母が弾かれたように顔をげた。 涙とでぐしゃぐしゃになったその顔には、私を見し続けてきた姑の面など、微も残っていなかった。
「あなたも、母を騙した共犯です。自分の見栄と息子の甘言に乗って、病の母のを踏みにじった事実は消えません」
義母は喉をヒクヒクと鳴らし、言葉を失ったままにへたり込んだ。
その姿に、同の欠片すら湧かなかった。