"遺品を捨てられた妻✕翌朝土下座する義母" 第5話
と言葉を濁された。 胸騒ぎが止まらない。』
『。 お義母さんに話し、おの使途細を求めた。 「今度ちゃんと精算をすから」と苛った声で返された。 面を求し、なんとか受領だけは郵送してもらった。 けれど、細は切届かない。 あのは、真由の体を実にして、何を企んでいるのか。 真由に問いただしたい。 けれど、妊娠初期の娘に、夫を疑うような残酷な話を突きつけていいのだろうか。 私の体は、もうく持たないというのに。』
ポタ、とのに黒い染みが落ちた。
気づいたには、涙が頬を濡らしていた。 声がなかった。
母は、病の激痛に耐えながら、たったで疑と戦っていたのだ。 娘を守るために差しした百万円が、娘のためなどではなく、得体のれない穴に消えていく恐怖を抱えながら。 そして、の私を傷つけまいと、真実を問い詰めることすら躊躇ったまま、息を引き取った。
私の母の、娘をう最の祈りを。 あの男は、あの親子は、を引きす具として踏みにじったのだ。
「……絶対に、許さない」
お腹のの命が、トントンと内側からく蹴りげた。 しみに溺れている暇はなかった。 私は涙をの甲で乱暴に拭い、納帳と受領、振り込みの控えをスマートフォンのカメラで枚ずつ鮮に撮した。
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画像データをクラウドにに保し、原本を再び缶に戻すと、夫の目につかない寝の押し入れの袋の奥くに隠した。
夕方、午を回った頃。 ガチャリと玄関の鍵がき、夫が帰宅した。
音がい。 リビングに入ってきた夫は、私の顔を見るなり、コートも脱がずに舌打ちをした。
「母さんから連絡があったぞ」
夫の目は血り、苛ちを隠そうともしていなかった。
「お、母さんに何言ったんだ? 泣きながら話がかかってきたぞ。古傷をほじくり返して寄りを虐めるなんて、いい性格してるな」
「古傷?」
私はキッチンカウンターにをつき、夫の目をまっすぐに見据えた。
「百万円の受領のこと? 私の緊急医療費っていう名目で、母から騙し取ったおのこと?」
夫の体が瞬、直した。 ネクタイを緩めようとしていた指先がピタリと止まる。 だが、次の瞬には、その揺を塗りつぶすような声がんできた。
「騙し取っただと!? 言葉を選べよ! 借りたんだよ、にな!」
「私の医療費だって嘘をついて?」
「お義母さんが頑固だからに決まってるだろ!」
夫は着をソファーに叩きつけた。
「会社の経営がに傾いてるって正直に言ったって、貸してくれるわけないだろ。俺たちの将来のため、まれてくる子どものために、あのを会社に回したんだ。
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結果に族のためなんだから、何も違ってない!」
「結果に?」
喉の奥から、乾いた笑いが漏れそうになった。
「母は、私がい病気なんじゃないかって怯えながらんでいったのよ。あなたが嘘をついたせいで!」
「うるさい!」
夫がテーブルを蹴りばした。 ガラステーブルがギギッと嫌な音をてて数センチずれる。
「んだのことをいつまでもグチグチ言うな! たかだか百万だろ! 実を売れば、そんな、端(はしたがね)ですぐ清算できるんだよ! だからく実印をせって言ってるんだ!」
「会社は、いくら借があるの?」
私の静かな問いに、夫は言葉を詰まらせた。 額にじわりと脂汗が滲みる。
「……、百万の運転資のズレだって言っただろ。おみたいな事務員が経営の数字にをすな。とにかく、の昼には産と契約を交わす。同に印鑑を押せ。それでおも子どもも、俺の会社も全部丸く収まるんだ」
夫はそれ以会話を続けることを拒むように、乱暴な取りで呂へと向かった。 脱所のドアが乱暴に閉まり、やがてシャワーの音が聞こえ始めた。
私は音をてずにちがり、リビングを抜けて夫の斎へと向かった。
普段は「仕事の密がある」と言って、掃除の以は私をち入らせない部。 スライド式の本棚、無造作に積まれた建築資材のカタログ。
私は机のにち、番のい引きしにをかけた。
鍵はかかっていなかった。