"遺品を捨てられた妻✕翌朝土下座する義母" 第2話
の法という区切りを待っていただけだ。 遺産を、あのを、自分たちの都のいいに変える法な図として。
「……サインは、しません」
私は両でお腹を抱え込み、絞りすように言った。
「まだ気持ちの理もついていないのに、を放すなんて考えられない」
夫の目が、すっと細くなった。 淡で、獲物を品定めするような暗いが宿る。
「そうか。おがそこまで恩らずだとはわなかったよ。族を助ける気がないなら、もう族面するな」
夫は査定を乱暴に鞄へ押し込むと、着も脱がずに自へと引きこもった。 義母は「これだから片親育ちは頑固でげがない」と吐き捨てるように言い残し、夜の帳がりた廊へとっていった。
残されたリビングで、私は気もつけずにち尽くしていた。 吐き気がするほどの孤独と、元からいがってくる気。 けれど、胸の奥底で何かがカチリと音をてて凍りついていく覚があった。
夜、夫の寝息が寝から聞こえてくるのを確認しながら、私は計を見つめ続けた。 午半。 の空がみ始めるの、最もえ込む帯。
私はのカーディガンを羽織り、音を忍ばせて玄関をた。
の空気は刺すようにたかった。 マンションの駐輪を抜け、指定のゴミ集積所へと向かう。
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カラス除けの黄いネットが張られたコンクリートの片隅に、昨夜、義母が放りしたあの半透のゴミ袋が転がっていた。
収集が来るのは、午過ぎ。まだにう。
ネットを持ちげ、袋の結び目を解く。 え切ったゴミ袋の底から、あの錆びたビスケット缶を抱きげた。
その、指先にいの触が触れた。
缶の蓋が、昨の衝撃でわずかに歪んで浮いていた。 その隙に、つ折りにされた青との融関の用が、ぎゅっと挟み込まれていたのだ。
……何、これ?
灯の暗いオレンジのので、用の端に目を凝らす。 そこには、見慣れた母の几帳面なボールペンの字と、もうつ、震えるような跡で記された署名の部が見えていた。
――。
それ以は暗くて読めなかった。 臓が警鐘を鳴らすように鐘を打つ。 私は缶を胸元に抱え込み、着のファスナーをまでげて隠すと、逃げるように部へと戻った。
洗面所で缶の汚れを拭き取り、自のクローゼットの奥、マタニティウェアの段ボールの底に隠した。 袋をした指先が、刻みに震えて止まらなかった。
朝、夫は嫌そのものの顔で起きてきた。 朝のトーストにもつけず、スマートフォンを睨みつけている。
「おい、真由。昨の件だがな」
「ごめんなさい、まだが痛くて。
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体調が悪いの」
私がそう遮ると、夫は舌打ちをして席をった。
「昼過ぎには産から連絡が来ることになってるんだ。夕方には実印を押してもらうからな。俺の顔にを塗るなよ」
玄関のドアが乱暴に閉まり、夫がてった。 計を見ると、午半。 夫は会社に着いた、母親に連絡を入れたのだろう。 『真由のやつ、まだ渋ってる』とでも送ったに違いない。
事態が急変したのは、正午をし回った頃だった。
ピンポン、とけたたましくインターホンが鳴った。 度ではない。髪を入れずに度、度。
受話器を取るに、ドアスコープを覗く。 そこにっていたのは、義母だった。
昨の品ぶった仕てのスーツではなく、普段着のチュニックのにカーディガンを羽織っただけの姿。 髪は乱れ、化粧もしていない。 何より異様だったのは、その目つきだった。 血った瞳をに泳がせ、爪を噛むようにしてドアノブを見つめている。
鍵をけると、義母は私の体を押し退けるようにして玄関に踏み込んできた。
「真由さん!」
息ががっている。で階段を駆けがってきたかのような息遣いだった。
「あのゴミ袋……! 集積所のゴミ袋、誰かがけたでしょう。あの缶がないのよ。あなた、拾ったの!?」
私はゆっくりと息を吸い、腹部に力を込めた。
「ええ。
母の切な遺品ですから。勝に捨てられたものを回収して何が悪いんですか」
その瞬、義母の顔から血の気がさっと引いた。