"遺品を捨てられた妻✕翌朝土下座する義母" 第1話
「の残したガラクタを、しいに持ち込むんじゃないわ」
義母のが、私の目ので激しくいた。
加減など最初からする気のない、乱暴な掴み方だった。 リビングのガラステーブルのに置かれていた、錆びついたビスケット缶。 角の塗装が剥げ、ところどころ赤茶に変したその缶を、義母は半透の指定ゴミ袋へと乱雑にねじ込んだ。
カン、と乾いた属音が部に響く。
「お義母さん、やめて……! それ、母の遺品なんです」
私はきくなったお腹を抱えながら、必にを伸ばした。 妊娠ヶ。急にくと腹部が引きつるように痛む。 それでも指先を伸ばした私の腕を、横からたい力で遮ったのは、夫だった。
首をく握られた。
「やめろよ、真由。ただの古びた缶だろ」
夫の声には、というものが切混ざっていなかった。 喪のネクタイを緩めもせず、え切った目で私を見ろしている。
「母さんの言う通りだ。今でお義母さんのも終わったんだぞ。いつまでも湿っぽいものをリビングに置いておくな。おはもう俺ののなんだから、所迷惑になるような声をすんじゃない」
「でも、実の押し入れから見つかったばかりで、もまだ――」
「ガラクタはガラクタよ。縁起が悪いわ」
義母はゴミ袋の結び目を器用にに縛ると、そのまま玄関へと歩きした。
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カサカサと音をてるビニール袋を、玄関の(たたき)を通り越して、のアルコーブへと放りす。 バサリ、と鈍い音が廊に響いた。
その瞬、義母の横顔が妙に張っていたことに、私はまだ気づいていなかった。 缶をゴミ袋に押し込む直、義母の線が瞬だけ、蓋の隙に吸い寄せられるように止まったことにも。
義母は息を荒げながらリビングに戻ってくると、わざとらしくをパンパンと払った。 そして、夫と顔を見わせる。
あらかじめ台本が決まっていたかのような、澱みのない空気だった。
「さて、真由さん。お母様の法も無事に終わったことだし、これからの現実な話をしましょう」
夫が卓の子を引き、どっかりと腰をろした。 カバンのから取りされたのは、茶い角2の封筒だった。 テーブルのに滑りてきた類の束の端に、『産売却査定』という印字が見えた。
臓が、嫌な音をててねた。
「実のことだ」
夫は、の気をにするような気軽さで言った。
「誰もまないをそのままにしておいても、固定資産税と管理費がかさむだけだろ。今ならまだ建物にわずかな値がつく。とわせて、1800万で買いが見つかりそうだ」
喉の奥が、からからに渇いていく。
「……売るって、母の実を?」
「ああ。俺の会社、今ちょっとした資融通で元が厳しくてな。
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仕入れの支払いがなってるんだ。おが実を売却することに同してくれれば、そのでな穴埋めができる。どうせ空きなんだから、効活用した方が母さんだってぶ」
「ぶわけないでしょう!」
声が震えて、裏返った。
「母がくなって、まだが終わったばかりだよ? あのは、母がパートでをにして、私をで育てるためにローンを払い終えただよ。なんで拓也さんの会社の補填に――」
「真由!」
夫がテーブルを平で叩いた。 バチン、とい破裂音が静かな部を切り裂く。
「言い方に気をつけろ。補填じゃない、なて替えだ。俺の会社がちかなくなったら、まれてくるこの子はどうなるんだ? おは母親としての自覚がりないんじゃないのか」
「そうよ、真由さん」
義母がすかさず背から覆いかぶさるようにを挟む。
「息子の会社を守るのが、嫁の務めでしょう。んだの持ち物に執着して、きてる夫のを引っ張る気? だいたい、あの古ぼけただって、拓也が産にをげて査定してもらったから値段がついたのよ。謝こそすれ、文句を言う筋いはないはずだわ」
の線が、刃物のように私の体に突き刺さる。 胃のあたりが激しく収縮し、お腹のの命がさく悶えしたのが分かった。
このたちは、しんでなどいない。 母のを悼んで集まったのではない。