"七年越しに再婚する私✕見知らぬ子と失踪夫" 第9話
「、弟を見殺しにした殺者としてきていけ」
スマートフォンの青いが、暗いリビングの井をたく照らしている。
隣の部からは、泣き疲れて浅い眠りに落ちた結の、かすかな寝息が聞こえていた。
……もう、限界だった。
これ以、あの男に結のを寸たりとも踏みにじらせるわけにはいかない。
翌朝、私は結を起こし、温かいスープをませてから、誠さんに話を入れた。
「誠さん、今、病院で決着をつけてきます」
受話器の向こうで、誠さんは静かに息を吸い込んだ。
『をそうか?』
「ううん。これは、私と結が……母親と娘が、あの男の嘘を終わらせなきゃいけないことだから」
『分かった。の話はいつでも取れるようにしておく。真紀さん、結ちゃん、無理だけはするなよ』
その器用で真っ直ぐな声に、胸の奥のたい塊がしだけ解けるのをじた。
午。
私たちは再び学病院の児医療センターを訪れた。
今回は、事に理さんと連絡を取りい、病院側の医療ソーシャルワーカーと児科の臨理士を交えた面談を用してもらっていた。
個の丸テーブル。
私と結が並んで座り、その隣には、しやつれた顔の理さんが座っていた。
悠斗くんは今、児病棟のプレイルームで専任の保育士さんと絵本を読んでいる。
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の醜い話しいに、あの子を巻き込む気は毛なかった。
「結さん」
を着た女性の臨理士が、結の目を穏やかに見つめた。
「昨夜、お父様から送られてきたメッセージを、お母様から見せてもらいました」
結がさく肩を竦め、膝ので握りしめた拳を震わせた。
「とても怖かったですね。ひどく傷ついたでしょう」
「……私、弟を助けたい気持ちは、本当にあるんです」
結は消え入りそうな声で、それでもはっきりと言った。
「でも……お父さんのあの言葉を見たら、息ができなくなって……もし私が断ったら、本当に私が殺しになるんじゃないかって……」
「絶対に、そんなことはありません」
理士は毅然とした声で、首を横に振った。
「臓器移植や骨髄移植において、ドナー候補者が拒否権を持つことは、法律でも医学倫理でも絶対に侵してはならない基本権です。誰かを救うために、誰かの体を制に使うことは、医療ではなく加害為です」
そして、ソーシャルワーカーの男性が類をめくりながら続けた。
「特に未成者の、族からの精神圧迫や理誘導があると判断された点で、倫理委員会の規定により、ドナー候補から即座に除されます。お父様が結さんにしている為は、な理虐待(マルトリートメント)に該当します」
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公な、そして医学な「正しさ」が、言葉となって部に満ちていく。
結の張っていた背から、しだけ力が抜けたのが分かった。
「……そろそろ、来るですね」
理さんが腕計を見つめ、く呟いた。
ドアのから、苛ったようなの音がづいてくる。
ノックもそこそこに、面談のドアが乱暴にけ放たれた。
「おい、結! よく来たな!」
浩が、息を切らして部に踏み込んできた。
汚れたビジネスバッグを脇に抱え、自分の惑通りに娘を呼びせたと信じ切った、勝ち誇ったような笑顔。
「ほら、先、この子が姉の結です! 本の同は取れてますから、今すぐドナー登録と適検査の続きを――」
そこで、浩の言葉がピタリと止まった。
テーブルの奥に座る、理さんの姿を界に捉えたからだ。
部の空気が、瞬で凍りついた。
浩の顔から、さっと血の気が引いていくのが目に見えて分かった。
線が激しく泳ぎ、喉仏がに激しくく。
「……り、理? なんで、おがここに……」
「浩さん」
理さんはちがらなかった。
ただ、え切った目で、そのにち尽くす夫を見据えた。
「悠斗の母親として、ここに座っているのよ。当然でしょう?」
「い、いや、だからって……真紀たちまで呼ぶ必はないだろう! 俺が全部段取りをつけて、円満にめると言ったはずだ!」
「円満?」
私のから、乾いた笑いが漏れた。
「歳の娘に『、殺者としてきていけ』と脅迫メッセージを送りつけることが、あなたの言う円満なの?」