"七年越しに再婚する私✕見知らぬ子と失踪夫" 第8話
再び既読。
そして、秒に浩から直接話がかかってきた。
私は迷わず通話ボタンを押し、スピーカーにした。
受話器の向こうから、激しい息遣いが聞こえてくる。
『おい、真紀! 何が言いたいんだよ! 娘のれ台を父親がこっそり見にって何が悪いんだ!』
自した。
やっぱり、あの所にいたのだ。
隣にいた結が、さく鳴のような息を呑んだ。
「浩さん」
私は氷のようにたい声で問いかけた。
「客席の最列にって、結を見ていたのね?」
『……ああ、そうだよ! 悪かったかよ! くで仕事があって、たまたま板を見かけて忍び込んだんだよ!』
「どうして、声をかけなかったの?」
受話器の向こうが、ピタリと静まり返った。
「どうして、台の袖で待っていてくれなかったの? 結は、ずっとあなたを待っていたのよ。泣きながら、父親のを探していたのよ。すぐそこにいたなら、どうして抱きしめてやらなかったの!?」
『……っ、それは……!』
浩が言葉を詰まらせた。
その沈黙を破ったのは、結だった。
結は私のからスマートフォンを奪い取ると、マイクに向かって泣き叫んだ。
「お父さん!」
『結……』
「その、悠斗くん、もういたんでしょ!?」
浩の息が止まる音が、スピーカーを通してはっきりと聞こえた。
「悠斗くんがいて、しいお母さんがいて……だから私を見ても、声をかけなかったんでしょ!? 私を見て、泣いてる私を見て……それでも、あのに帰っていったんでしょ!?」
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『ち、違う! 結、お父さんはあの、おたちにわせる顔がなくて――』
「嘘ばっかり!」
結の絶叫が、リビングの壁に反響した。
「わせる顔がないなら、なんで今さら来るの!? なんで悠斗くんが病気になった途端に、平気な顔で私のに現れるの!? お父さんは、もう度私を捨てたんだよ!」
結の涙が、スマートフォンの画面のにポタポタと落ちていく。
度目の放棄。
病気の子どもを救うために必になって娘を探ししたのではない。
居所も、成も、通っている学も、すべてっていたのだ。
っていながら、のあのの、台のでう娘の姿を確認したで、何のろ髪も引かれることなく、自分のしいぬくもりのある庭へと踵を返したのだ。
そして今、そのしい庭の子どもが危に瀕したときだけ、かつて捨てた娘を「使える具」として引きしの奥から引っ張りしてきた。
『結、落ち着け! おは勘違いしてる! お父さんはいつだって――』
「黙って!」
結は通話終ボタンを乱暴に叩きつけた。
そして、スマートフォンをソファのに投げし、そのに崩れ落ちて号泣した。
「うわああああん……っ! お父さん……お父さんなんか……っ嫌いだ……っ!」
私は膝をつき、泣きじゃくる娘を力いっぱい抱きしめた。
結の背が、壊れた鳥のようにさく波打っている。
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に。
どれほど残酷な真実を、この歳のに突きつけてしまったことだろう。
けれど、これで良かったのだ。
あの男が振りかざす「父性」という甘い毒に絡め取られ、罪悪の奴隷にされるより、この痛みを経て、あの男の正体を骨の髄まで見届ける方が、結のこれからのにとって、絶対に必だった。
夜が更けても、結の涙は止まらなかった。
ようやく疲れて眠りに落ちた娘の額にタオルを当て、私がリビングのかりを落としたときだった。
テーブルのに置かれた結のスマートフォンが、暗ので青くった。
Lineの通。
送り主は、浩だった。
画面に表示されたプレビューの文字を読んだ瞬、私の全の血が逆流した。
『結、これが最のチャンスだ。来週曜の朝、学病院の受付に来い。来なければ、悠斗はおのせいでぬ。、弟を見殺しにした殺者としてきていけ。父親としての最の頼みだ』
狂気の最通牒。
実の娘に対して「殺者」と言い放つその底れぬ悪に、私の指先はりでく張っていた。
画面に浮かびがった「殺者」という文字を見つめながら、私の指先は音をてるようにえ切っていた。
実の娘に向かって、ここまで残酷な言葉を投げつけられるが、この世にするのか。
「おにはのがないのか」