みかん小説
本棚

"七年越しに再婚する私✕見知らぬ子と失踪夫" 第1話

、夫は私と歳の娘を捨てて、突然姿を消した。

警察に相談しても、親戚に聞いても、方は分からなかった。

それから、私はで娘を育てた。

そして今、ようやく再婚することになった。

ところが式が始まる直、歳になった娘が、見らぬ歳の男の子を連れて入ってきた。

その子のろにっていたのは、に消えた夫だった。

「結婚式は止だ」

夫は私を見るなり、そう言った。

「この子を助けられるのは、うちの娘だけなんだ。娘を連れていく」

私はわず聞き返した。

「、度も会いに来なかった娘に、今さら何を頼むつもりなの?」

夫は悪びれもせずに答えた。

「親子なんだから当然だろう」

そのとき、隣にいた娘が、さな声で言った。

「お母さん、ごめん……私、もうお父さんに約束しちゃった」

「何を?」

娘は泣きながら答えた。

「もし私が断ったら、あの子はんじゃうって……」

の芯が、じんと痺れるようにたくなった。

控のい壁も、姿見に映る私のウェディングドレスも、すべてが現実を失ってのいていく。

息が吸えない。

目のにっている男は、確かに浩だった。

し髪が混じり、顎のラインがたるんでいるけれど、あの神経質そうに細められた目元も、を値踏みするように歪むい唇も、の記憶と完全に致していた。

広告

失踪宣告の続きを終え、戸籍ので婚姻関係を解消するまでに、どれだけのと涙を費やしたとっているのか。

活費も養育費も円も残さず、あるふらりと煙のように消えた男が、なぜ私の再婚のに、控のドアを平然と押しけているのか。

「おい、聞いてるのか真紀。悠斗の容態は待ったなしなんだ」

浩は苛たしげに革靴の先で絨毯を叩いた。

その元に、さなが張り付いていた。

いのパーカーを着た、ひどく痩せた男の子。

抱きしめた茶いクマのぬいぐるみのを、さな指先で千切れんばかりに握りしめている。

顔が悪い。唇の端が乾燥して切れていて、目のには濃い隈が落ちていた。

たちの張り詰めた空気に怯えきって、線を泳がせている。

「……悠斗、っていうの?」

私はわず、に膝をついた。

ドレスの裾が擦れる音など、に入らなかった。

目のさをわせると、男の子の肩がさくびくりとねる。

「今、ずっとっていて、しんどかったでしょう。喉、渇いてない?」

男の子は恐る恐る頷いた。声もせないくらい怯えている。

「真紀、そんな茶番はどうでもいい」

から、浩のたい声がってきた。

「悠斗はい血液の病気なんだ。造血幹細胞移植が必になるかもしれない。結はその姉なんだから、今すぐ病院に来て検査を受ける義務がある」

広告

姉。

義務。

どのが、それを言うのか。

歳のあのから、運会でも、卒業式でも、父親の席に誰もいない寂しさに唇を噛み締めてきた結のを、この男は何つ見ていない。

「お父さん……」

結が私の背に縋り付いて、声を震わせた。

「私、かなきゃダメだよね? 弟なんだよね……? 私が逃げたら、あの子、本当にんじゃうの……?」

結の指が、私の肩の布をく掴んでいる。

爪がい込んで痛いほどだった。

浩の狙いが、瞬で透けて見えた。

この男は、私を激させようとしている。

婚礼ので母親が「そんな見ずらずの子のために娘は渡さない」と喚き散らし、殺しのような悪者になる構図を作りげようとしている。

そうすれば、優しい歳の結は罪悪に押し潰され、「お母さんが助けてくれないなら、私がでついていく」と言いすと踏んでいるのだ。

の良と罪悪につけ込む。

、計のを使い込み、問い詰めた私に「おが俺を信じないから息が詰まるんだ」と言い放って姿を消したときの卑劣さと、何つ変わっていなかった。

「……式のスタッフを呼びます」

私はちがり、鏡のに置いてあった内線話の受話器を取った。

「おい! 警察でも呼ぶ気か!」

浩が血相を変えてを伸ばしてきたが、私はそのをたく払いのけた。

「悠斗くんを、静かな別で休ませてもらいます。ソファのある部で、温かい麦茶をしてもらう。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: