"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第15話
列席者を突きばすようにして、直は祭壇のへ詰め寄った。
「俺を殺したことにしたな……! 俺をにして、あのを由紀にかせて、全部の罪を俺に擦り付ける気だったんだろうが!」
「黙れ!」 正彦がを忘れ、鳴り声を張りげた。 「おは阪にいるはずだろ! 誰のでここまで逃げ延びてきたとってんだ!」
「逃げ延びただと?!」 直は首から吊った腕を正彦の胸元に突きした。 「おが雇った男たちに腕を折られて、ホテルに監禁されそうになったんだよ! 俺の座を全部凍結して、円の退職も払わずに、俺を狂として処理しようとしやがって……! 親族のでいい顔しやがって、この殺しが!」
「殺しはおだろうが!」 正彦が直の胸ぐらを掴み返した。 スーツのが引き裂かれそうなほどくねじりわされる。 親族たちの鳴と罵声がび交い、斎は瞬にして阿叫喚の修羅と化した。
「倉庫に燃性の薬品を違法に搬入させたのはおだ! 消防の検査を誤魔化すために、夜に作業員を突っ込ませたのもおだろ! おが非常ドアの鍵を閉めっぱなしにしたから、あの女は逃げられなかったんじゃないか!」
「あんたの指示だろッ!」 直が唾を撒き散らしながら鳴り返す。 「庫がバレたら億単位の負債がるって、会社が潰れるっておが泣きついてきたからだ! 俺に全部の責任を押し付けるな! 指示の原本も、メールの履歴も、俺は全部取ってあるんだよ!」
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「あれは由紀の部に隠したんだろうが! それを回収するために俺たちがどれだけ――」
正彦の声が、ピタリと止まった。
会が、を打ったように静まり返った。 親族たちも、取引先のも、呆然としての兄弟を見つめている。
正彦は自らった言葉のさに気づき、息を呑んで線を泳がせた。 けれど、もう遅かった。
「……そう」
私のたい声が、のに落ちた。
「あの夜、鍵を使って私の寝に入ろうとしたのは、やっぱりだったのね」
直がハッとして私を振り返った。 その目は、妻への謝罪ではなく、追い詰められた獣のような濁ったを宿していた。
「由紀……お、警察に言ったのか? 言ったのかよ!」
「ええ。言ったわ」 私はバッグから、ラミネート加された枚のを取りした。 警察署でコピーをとってもらった、あの作業指示のスキャンデータ。 直の自署と、正彦の会社の認印が、鮮に並んで押されている。
「指示の原本データも、寝でが論していた映像も、すべて今朝、警庁の犯係と労働基準監督署に提しました。災でくなった本由梨さんのご遺族と緒に」
「由紀、お……!」 直が叫び、私にを伸ばそうとした。 「俺は……俺はおを守ろうとしたんだ! あの夜だって、話で鍵を閉めろって教えただろうが! 俺がおを助けたんじゃないか!」
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「違うわ」
私は歩も退かず、直の目を真っ直ぐに見据えた。
「あなたは私を助けたんじゃない。私が寝に鍵をかけて閉じこもれば、正彦さんたちが部に入って証拠を持ちるのを防げるとっただけ。私を、あなたの犯罪の証拠を守るためのバリケードにしただけよ」
直のが半きになり、言葉を失った。
「、私を飼い慣らしてきたって言ったわね。私に嘘のアリバイのサインをさせて、いざとなったら共犯にして刑務所に送るつもりだったって……あの映像に、あなたの声ではっきりと残っていたわ」
「ゆ、由紀……あれは、兄貴を騙すための嘘で……」
「本由梨さんの名すら、覚えていなかったくせに」
私の言葉に、直は息を詰まらせた。 弁解の言葉は、もうどこからも湧いてこなかった。
その、斎の入りから、何ものい音が響いてきた。
ダークスーツを着たの男たち。 胸元から警察帳を掲げ、迷いのない取りで祭壇のへみる。
「川正彦さん、川直さんですね。警庁捜査課です。に発した倉庫災における業務過失致、並びに証拠隠滅の容疑で、両名に逮捕状がています。ご同願います」
正彦はそのにへたり込み、両で顔を覆った。 直は警察官に腕を掴まれながら、狂ったように叫び声をげた。