"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第11話
私はスマートフォンを取りし、画面を義母の顔に向けた。 カメラの録画ボタンを押す。
「昨夜、この部に審な侵入未遂があり、すでに所轄の警察署が現検証に入っています。警察官の連絡先も控えてあります。今すぐここをてかないなら、現犯で通報します」
「な……!」 義母の顔が、りと揺で赤黒く染まった。 突きしたスマートフォンのレンズから逃げるように、義母は咄嗟に顔を背けた。 所の目。世体。警察汰。 このが何よりも恐れているものが何か、も緒にいれば嫌というほど分かっていた。
「……恩らずな女ね。直がんで、がおかしくなったんじゃないの?」 義母は履き古したスリッパを乱暴に脱ぎ散らかし、自分のバッグをひったくるように抱え込んだ。 「いいわよ。こんな埃っぽい部、こっちから願いげだわ。でもね、直の遺骨もお葬式も、あなたには絶対にち会わせないからね。川の敷居は、度と跨がせないから!」
捨て台を残し、義母はエレベーターへと逃げていった。
残された荒れ果てた部で、私はち尽くした。 引き裂かれたシーツ、ひっくり返された本棚。 義母が必になって探していたもの。 それは、直が隠し持っていた「災事故の証拠」だった。
私は寝の隅から自分のスーツケースを引きずりし、最限の着替え、パスポート、そして仕事に必な類だけを詰め込んだ。
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最に、コートのポケットにを入れる。 指先に触れる、さなプラスチックケース。 『Backup / 2026.04- Log』 警察官も義母も気づかなかった、もうつの記録媒体。
私は鍵のかからない玄関ドアを背に、度と戻らない覚悟でマンションをにした。
駅のファミリーレストランの奥の席で、本咲良さんはノートパソコンをいて待っていた。 運ばれてきたアイスコーヒーのグラスに滴がつき、テーブルを濡らしている。
「これです」 私はポケットからマイクロSDカードを取りし、咲良さんに差しした。 咲良さんの指が、微かに震えながらカードリーダーにそれを差し込む。
画面にフォルダが展された。 数千枚に及ぶ類のスキャンデータ、報のPDF、そして――画ファイル。
そのに、の付――直が「阪張」へ発するの曜の夕方に記録された画があった。
ファイル名は『CAM_BED_20261005_1620.mp4』。
「……これ、私のの寝です」 唾をみ込みながら、再ボタンをクリックした。
画面に映しされたのは、見慣れた畳半の寝だった。 画角は、あの充器の計パネルからの点。 ベッドの端と、クローゼットの扉が映っている。
ガチャリとドアがき、の男が入ってきた。
直。 そして、義兄の正彦だった。
私が印刷会社で残業をしていた帯だ。 夫は張の、兄を自宅の寝に招き入れていた。
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画面ののは、激しい論の最だった。
『原本はどこだ』 正彦のく威圧な声が、スピーカーから漏れ聞こえる。 『消防と労基署が、災現の再調査に入るきを見せてるんだ。あの夜の入庫伝票と、おのサインが入った作業指示の原本を全部せ。あれさえ焼却処分すれば、向こうもしはできない』
『渡すわけないだろ!』 直が叫び返した。声が裏返っている。 『あれを渡したら、あんたは俺を切り捨てる気だ! 約束の千万円を俺の個座に振り込むまでは、絶対に渡さない!』
正彦が酷にで笑った。 『千万だと? よくそんなが叩けるな。あの倉庫でおが違法な劇物の横流しを見逃していたこと、忘れたのか? おだって同罪なんだよ』
『俺は指示に従っただけだ!』 直がベッドの端に腰掛け、を抱え込んだ。 その直、直のからた言葉に、私は全の血が逆流するような衝撃を受けた。
『……でも、アリバイなら作れる』
『あ?』
『由紀に、サインをさせる』 直は顔をげ、え切った目で兄を見つめていた。 『災当夜の「社員活実態調査」だ。あの夜、俺が夜には帰宅して、ずっとで由紀と緒に過ごしていたという証言に、妻のサインと実印を押させる。内による完璧な証だ。そうすれば、警察だって俺が夜に現で作業員に指示をしていたとは追及できない』