"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第10話
にされていた。
「……本さん」 私は、自分のポケットのにを入れた。 そこには、今朝コンセントの隙で見つけた、あのアダプタケースが入っていた。 警察官も見落とした、バックアップの文字。
「川直は、きています」 私の言葉に、咲良さんが息を呑んだ。 「交通事故でんだというのは、義母と義兄が仕組んだ狂言です。そして……あのが隠し持っている証拠が、まだあります」
咲良さんの目がきく見かれた。
「私と緒に、警察へってくれますか? あなたが持っているその記録と、私のっていること……全部、話しましょう」
「川さん……」
「私はもう、あのの妻としているつもりはありません」
はっきりとにした瞬、胸の奥のたい氷が、ピシリと音をてて割れた気がした。
咲良さんと連絡先を交換し、午に所轄の警察署で落ちう約束を取り付けた。 まずは自宅に戻り、通帳や印鑑、の回りの最限の荷物をまとめる必がある。 あの部には、もう分たりともいたくなかった。
駅からで歩き、マンションへ戻ってきた。 エレベーターで階へがり、がの玄関ドアのにつ。 バッグから鍵を取りし、鍵穴に差し込んだ。
……回らない。
カチャリとも言わない。 奥まで差し込んでいるのに、鍵がびくともしない。
違に目を見張り、シリンダーの周囲をよく見る。
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鍵穴の属が、真しいにっていた。 傷つない。
シリンダーが、丸ごと交換されている。
息が止まりそうになった、その。
ガチャリ。
内側からラッチがれるい音がして、ドアがスッといた。
玄関のたたきに散乱していたのは、私の靴ではなかった。 見慣れた婦靴。派な刺繍の入ったスリッパ。 そして、廊には無数の段ボール箱と、プラスチックの装ケースが積みげられていた。
奥のリビングから、けたたましい物音が響いている。 引きしを乱暴にけ放ち、類をに投げ捨てる音。
玄関に現れたのは、義母だった。 腕まくりをして、ゴム袋をはめた義母が、私を見てギョッとしたように目を剥いた。 だが、その揺は瞬で消えり、すぐに酷で傲な表へと塗り替えられた。
「……あら。帰ってきたの」
義母はを鳴らし、に持っていた私のジュエリーボックスを、元の段ボール箱へ放り投げた。
「お義母さん……何をしてるんですか? 勝に鍵を変えて、部を荒らして――」
「荒らしてるんじゃないわよ。片付けてるの」 義母は仁王ちになり、私を見ろした。 「直の遺品は、すべて川のものよ。この部の賃だって、元はと言えば会社の経費からていたんだからね。あの子がんだ以、ここは引き払うわ」
「直さんはんでいません!」
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私が叫ぶと、義母の眉がピクリとねた。 しかし、揺は見せなかった。むしろ、え切った嘲笑を浮かべて、歩踏みしてきた。
「何を馬鹿なことを言ってるの? 事故のショックでがおかしくなったのかしら。直はんだのよ。遺体はもう、正彦が配して荼毘に付されたわ」
息を吐くように、平然と嘘をねる。 息子のすら、具にして。
「由紀さん。あなたにはもう、このに指本触れる権利なんてないのよ。直の物は、切れ枚たりとも渡さないわ。……の回りのだけトランクに詰めたら、今すぐここからてきなさい」
義母の背、きくけ放たれた寝のドアの向こうが見えた。 ベッドのマットレスは剥ぎ取られ、サイドテーブルはに倒され、無残に引き裂かれていた。
あいつらが探しているものは、ここにはもうない。 私のコートのポケットので、さなプラスチックの板が、たく私の皮膚に触れていた。
「警察を呼びます」
私のからたのは、自分でも驚くほどく、平坦な声だった。
義母のがピタリと止まる。 に散らばった私の着や通帳の束をに、義母は怪訝そうに顔をげ、私を睨みつけた。
「……は? 警察? 何を言ってるの、由紀さん。実の母親が息子の部を片付けてるだけじゃないの」
「ここは、私と直さんが連帯保証をてて借りている賃貸宅です。
契約者のである私の承諾なく、勝にシリンダーを交換し、内に侵入して財を荒らす為は、刑法第百条の居侵入罪、および器物損壊罪に当たります」