みかん小説
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"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第8話

直は息を呑み、言葉を失った。

私の脳裏に、半に起きたある来事が、鮮に蘇っていた。

災事故からしばらく経ったあるの昼がり。 自宅の固定話に、見らぬ若い女性から話がかかってきたことがあった。 『川直さんのご自宅でしょうか。私、倉庫でおくなりになった本由梨の妹です。姉の私物のことで、川さんに直接お聞きしたいことがあって』

夜、帰宅した直にその話のことを伝えた瞬。 いつも温だった直は、元のビールグラスをテーブルに叩きつけ、鬼のような形相で鳴り散らしたのだ。 『なんでそんな話にたんだ! 度とるな! あののはがおかしいんだ、関わるな!』

あの異様な剣幕。 そして、その翌週に夫が持ち帰ってきたのが、あの計型の充器だった。

「……あのカメラは、棒を見張るためじゃない」 私は直の目を真っ直ぐに見据えた。 「あの事故のことで、誰かが私に接触してこないか、私を通して真相が漏れないか……私を見張るために設置したんでしょう?」

直はを半きにしたまま、ち尽くしていた。 否定の言葉がてこない。それが何よりの答えだった。

そして、夫のからた次の言葉は、私のにわずかに残っていたを、完全に砕した。

「……由紀、その話はだ。それより、あの充器はどうした?」

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私の全でもなく、恐怖への謝罪でもない。 直の目がギラギラとり、私のコートの胸元を鷲掴みにした。

「あの充器は今どこにある?! 警察に渡したのか?! に入っていたSDカードは?!」

「……警察が、証拠品として持ってったわ」

私がそう言った瞬。

「な……なんだと?!」 直の顔が、りと絶望で醜悪に歪んだ。 掴まれた胸元が、激しく揺さぶられる。 「馬鹿野郎! なんで渡したんだ! あれを警察に渡したら、全部終わりなんだよ! 俺が……俺がどれだけ苦労して隠してきたとってんだ!」

「痛い! して!」

私が腕を振り払うと、直は取り乱したようにを抱え、をったり来たりした。 先ほどまでの、妻を気遣う健気な夫の姿は、跡形もなく消えっていた。

「あのにはな……災当夜の、兄貴からの指示メールのバックアップと、違法作業の指示のデータが入ってたんだよ。兄貴が隠蔽した防犯カメラの、消されるのコピーもだ!」

「……それが、正彦さんが探していた『証拠』なのね」

「そうだ! あれさえあれば、俺は兄貴を脅してを毟り取れたんだ! いざとなれば警察に突きして、俺だけ司法取引で減刑してもらうこともできた! だから……番全な所に隠しておいたんだ!」

番全な所。 私の枕元。 毎晩、私が無防備にを預けて眠っていた、そのすぐ横。

「……私を、庫代わりに使ってたのね」

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乾いた笑いが漏れそうになった。 「あなたが兄貴を脅すための爆弾を、何もらない私の枕元に置いて……誰かが奪いに来たら、私が番最初に巻き込まれる所に置いていたのね?」

「違う! おを巻き込むつもりなんて――」

「昨の夜の話もそうよ!」 私は直を睨みつけた。 「『鍵を閉めろ』って言ったのは、私を助けるためじゃない。正彦さんたちがあの部に入って、あの充器を持ちるのを、私が部にいることで防ぎたかっただけでしょう?! 私が鍵を閉めてに籠れば、あいつらは部を捜しできないから!」

直は言葉に詰まり、息を荒げた。 図だったのだ。 この男は、の恐怖に怯える妻を救おうとしたのではない。 自分の保のための「切り札」を守るため、妻をの盾にして寝にバリケードを築かせたのだ。

「由紀……頼む、聞いてくれ」 直は膝をつき、私のトレンチコートの裾にすがりついた。 見苦しい涙が、無精髭を濡らす。 「警察からあれを取り戻してくれ。妻の私物だって言えば、返してもらえるはずだ。あれさえに入れば、俺たちはやり直せる。でここをて、にこう。昔、話しただろう? 樽でさな喫茶をくのがだって……あのがあれば、何自由なく暮らせるんだ!」

。喫茶。 代の終わり、おがなくて狭いアパートで暮らしていた頃、で笑いながら語りった。

それを今、の命を踏みにじり、妻を監し、実の兄を請るための具として差ししてくる。

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