"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第7話
夜、違法に雇った国作業員を使ってな」
直は包帯の巻かれた腕を抱え込み、痛みに耐えるように奥歯を鳴らした。
「その作業に、フォークリフトが無許で保管してあった燃性の消毒液ドラム缶に接触した。が散って、気に燃え広がったんだ。逃げ遅れた夜勤のパートの女性は……兄貴がコスト削減のために、非常扉の内側からカンヌキをかけさせていたせいで、にられなかった」
「……そんな」
目のが真っ暗になった。 業務過失致。 それどころか、証拠隠滅のための違法作業と、全配慮義務の完全な放棄。 それが、あの「幸な設備事故」の正体だったというのか。
「兄貴は、警察と消防の現検証のに、現の防犯カメラのハードディスクを持ちし、記録を改ざんした。そして、全部を設備の老朽化による突発なに見せかけたんだ。遺族には相応のを握らせて示談にして……」
「あなたも、それをっていたの?」 私の問いに、直はビクッと肩を震わせ、線を泳がせた。 「っていたどころじゃないわよね。あなたは、あの倉庫の総責任者だった」
「俺は反対したんだ!」 直はすがるように私の首を掴んだ。 「俺はあんな無茶な作業、やめるべきだって言った! でも兄貴は『おも役員報酬をもらっている共犯だ』って脅してきたんだ。
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会社ので俺たちの活が成りってるんだろうって! 俺には逆らえなかった……!」
必に弁解する夫の顔。 れで、追い詰められた被害者の顔。 連れ添った夫が、泣きそうな目で私を見げている。
けれど。 私の胸の奥で、たい澱のような違が消えなかった。
「……じゃあ、今回の張は? なぜ阪で事故したことになっているの?」
「交渉しにったんだよ」 直は吐き捨てるように言った。 「遺族の妹が、事故の真相を嗅ぎ回ってマスコミにタレ込もうとしてるって聞いて、怖くなった。このままじゃ、いつか警察が本格にく。だから俺は、兄貴に『もう耐えられない。自首するに、俺に退職とへ逃げるための資をせ。責任を全部俺に押し付けないというをけ』って求したんだ。阪のホテルで、きりでな」
「交渉は……どうなったの」
「決裂したよ」 直の目が、狂気じみたを帯びて歪んだ。 「兄貴は最初からを払う気なんてなかった。阪のホテルので、兄貴が雇った男たちに囲まれて……この腕を折られた。類を全部渡せって脅された。俺は隙を見て逃げした。そうしたら今度は、俺を『交通事故でした』ことにしやがったんだ。俺が公のにてこられないように、世に俺のを消して、あいつが探している『証拠』を奪うために!」
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話の筋は通っているように見えた。 残忍な義兄。巻き込まれ、命からがら逃げ延びた夫。 妻なら、ここで夫を抱きしめ、緒に逃げようと言うべきなのかもしれない。
だが、私は歩、ろへ引いた。
「……ねえ、直さん」
「なんだよ、由紀」
「その、正彦さんが探している『証拠』って、何?」
直の喉仏が、きくした。 答えは返ってこなかった。
私はコートのポケットので、指先をく握りしめた。
「昨の夜、あなたが私のスマホに送ってきた写真のことよ。あれ、どこから撮ったの?」
直の表が、瞬で凍りついた。
「……あれは、その……」
「ベッドサイドの充器よね」 私は畳み掛けた。声が自分でも驚くほどたくなっていくのが分かった。 「計のパネルの奥に、カメラが仕込んであった。警察のに見せたら、すぐに分かったわ。ピンホールレンズの監カメラだって」
直の顔から、急速に血の気が引いていくのが見えた。
「け、警察……? お、警察を部に入れたのか……?」
「当たりでしょう! 夜に鍵で誰かが入ってきそうになって、んだはずの夫から写真が送られてきて、通報しないがどこにいるの? ……それより答えてよ。なんであのカメラが、半から私の枕元にあったの?」
「それは……!」 直は狼狽し、線を面に落とした。 「おを守るためだよ! 俺が夜勤や張でいない、物騒だから……防犯のために――」
「嘘をつかないで」 私の声が、狭いにく響いた。 「防犯のためなら、どうして私に教えなかったの? どうして私が着替えるのも、寝返りを打つのも、全部黙って見ていたの? 半、あなたが突然あの充器を持ってきた……覚えてる? あの災事故の、ちょうど週よ」