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"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第6話

あの倉庫災。

正彦が代表を務め、直が現責任者を任されていた、医療器の輸入販売会社『川メディカル』。 都の古い倉庫で夜にし、夜勤の女性社員が、煙に巻かれて命を落とした。 原因は「古い配盤のショートによる失」と発表され、会社側は遺族に相応の見を支払い、事態は穏便に収束したはずだった。

あの、直はひどく憔悴していた。 葬儀から戻った夜、私のでを抱え、晩震えていた。 『俺の管理だ。もっとく点検していれば、あんなことにはならなかったのに』 そう言って涙を流す夫の背を、私はただ擦り続けた。 優しい夫が、部のに責任をじて苦しんでいるのだと、本気で信じていた。

けれど――あの災の直から、すべてが狂い始めたのだ。

直は夜にうなされるようになり、私の目を避けるようになり、そしてあのピンホールカメラ内蔵の充器を持ち帰ってきた。 「スマホの充が遅いって言ってただろ」と、穏やかな笑顔を浮かべて。

悪寒が胃の底からいがってくる。 あのカメラは、最初から「これ」のために設置されたのではないか。

午1020分。 私は普段着のトレンチコートを羽織り、さなショルダーバッグを肩にかけてをた。 エントランスをる際、周囲を慎に見回す。

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向かいのコインパーキングに、見覚えのない黒い軽ワゴンがまっていたが、は見えなかった。 監されている。 そんな被害妄めいた気が、首筋にまとわりついてれない。

武線のに乗り、指定された駅でりた。 差しはいのに、指先は袋が欲しくなるほどえ切っていた。 宅を抜け、鬱蒼とした々に囲まれた神井公園の側へ向かう。 雑がい茂り、錆びた板が傾いた旧・児科医院の裏。 通りの途絶えた狭い砂利に入った瞬、ブロック塀のから、に男の腕が伸びてきた。

「ひっ……!」

鳴をげそうになったを、荒れたのひらで塞がれた。 をつく、タバコと汗と湿った埃の匂い。 引きずり込まれるようにして、医院の通用の軒に押し込まれた。

「静かにしろ。俺だ」

をした男の顔を見て、私は息を呑んだ。

直だった。 けれど、私のっている直ではなかった。

えられていたはずの髪は油でべっとりと額に張り付き、無精髭が顎を覆っている。 仕ての良いビジネススーツではなく、汚れた作業着のようなウインドブレーカー。 そして、腕には汚れた包帯が雑に巻かれ、角巾のように首から吊るされていた。 頬はげっそりと削げ落ち、目のには黒々とした隈が張り付いている。

「……直さん」

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涙よりも先に、喉から掠れた空気がた。 きていた。 目ので、浅い呼吸を繰り返しながら、あのがっている。

「由紀……無事だったか」 直は私の両肩を掴んだ。 そのは刻みに震えていた。骨が浮きた指先が、コート越しにい込む。 「昨の夜、部に誰かが入ってきただろう。ドアをけなかったな? 怪はないな?」

「……ええ。鍵を閉めたから、誰も入ってこなかった」 私は直の充血した目をじっと見つめ返した。 「でも、にいたのは誰? お義母さんの声が聞こえたわ。それに、正彦さんもいたんじゃないの?」

直の顔が、恐怖と憎悪で引き攣った。

「やっぱりあいつらだ……。俺がんだことにして、に入り込む気だったんだ」

「どうしてそんなことをするのよ! 説して! んだなんて嘘をついて、親戚にも連絡して……とも、体何をしようとしてるの?」

直は周囲の通りを何度も気にしながら、壁に背を預けて滑り落ちるように屈み込んだ。

「……の災事故だ」 掠れた声が、砂利のに落ちる。 「あれは、事故じゃない。配盤のショートなんかじゃないんだ」

背筋が凍りついた。

「どういうこと……?」

「兄貴の指示だったんだよ。あの倉庫には、認のりていない輸入医療器の庫がほど積んであった。定期のち入り検査が入ることになって、それがバレたら会社は発で営業止、億単位の追徴と損害賠償で倒産だった。

だから兄貴は、検査のに問題の庫を別の所へ移そうとしたんだ。

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