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"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第5話

充器が差し込まれていたコンセントの隙。 壁と具のわずかな隙に、さなプラスチックの板が落ちていた。

警察官を見送った、私は膝をついてそれを拾いげた。 予備のアダプタケース。 そこには、直の几帳面な字で、さなラベルシールが貼られていた。

『Backup / 2026.04- Log』

。 半。 夫の会社――正彦が経営し、直が物流管理を統括していた医療器メーカーの倉庫で、災事故が起きた期だった。 夜勤の女性社員が、逃げ遅れてくなった、あの災。

あの事故の直から、直の様子はおかしくなった。 急に眠れなくなり、夜に何度も起きてはリビングで誰かと話で鳴りい、そして――このカメラを私の枕元に設置したのだ。

私を監するためじゃない。 この部に、誰かが入ってこないかを見張るため。 そして、あの災の「何か」を、私のすぐそばに隠すため。

その。 静まり返ったリビングで、固定話のベルが鋭く鳴り響いた。

ジリリリリリ、ジリリリリリ。

臓がねがる。 朝分。 こんなに、固定話にかけてくる。

私はちがり、フローリングを裸で歩いてリビングへ向かった。 ナンバーディスプレイの液晶画面を見る。

表示されていたのは、見らぬ局番。 『06-XXXX-XXXX』 阪の局番だった。

受話器にを伸ばす。 指先はもう、震えていなかった。

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ただ、氷のようにたく、覚を失っていた。

私は受話器を取り、無言のままに当てた。

相も、名乗らなかった。 ただ、受話器の向こうから、浅く乱れた呼吸の音と、微かなのエンジン音が聞こえてきた。

そして。

「……由紀。頼むから、警察には何も渡すな」

受話器から流れてきた夫の声は、数よりも遥かに追い詰められ、震えていた。

「俺は今、おのすぐくにいる」

「俺は今、おのすぐくにいる」

受話器の向こうから漏れたその言が、朝のえ切ったリビングに突き刺さった。

臓が嫌な音をててねがる。 に押し当てたプラスチックの受話器が、氷のようにたい。

「……すぐくって、どこにいるの」 喉の奥がカラカラに渇いて、掠れた声しかなかった。 「直さん、あなた本当にきているの? 阪でんだんじゃなかったの? お義母さんも、正彦さんも、あなたがトラックに撥ねられて即したって――」

「母さんと兄貴が、そう言ったのか」

夫の声はく、ひび割れていた。 受話器の奥で、乱暴に息を吸い込む音がする。

「あいつら、そこまでやりやがったのか……。いいか、由紀。絶対に騙されるな。俺はんでなんかいない。事故になんか遭っていない」

「じゃあ、なんでに帰ってこないの? どうして警察にかないのよ!」

「警察に言えるわけがないだろう!」 唐突にがった夫の鳴り声に、わず肩がねた。

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の結婚活で、度も聞いたことのない荒々しい響きだった。 だが、直はすぐにに返ったように声を潜め、で囁いた。

「すまない、鳴って……。でも、頼むから俺を信じてくれ。兄貴に嵌められたんだ。このままだと、俺は全部の罪を着せられて消される」

「罪……? なんの罪?」

「話じゃ話せない。盗聴されてるかもしれないんだ。今の午11、神井公園の側……昔、潰れた古い児科の医院があるだろう。あの裏のに来てくれ。でだ。警察にも、誰にも言うな」

「直さん、待って――」

ツーツー、と無質な子音。 方に通話が切られた。

液晶画面を見つめたまま、私は受話器を置くことができなかった。 表示された局番は『06』。 阪の番号だ。 なのに夫は「すぐくにいる」と言った。 会社の転送能を使っているのか、それとも偽装された番号なのか。 何が本当で、何が嘘なのか、元のが抜け落ちていくような覚が消えない。

リビングの窓から、乳の朝のが差し込んでいた。 は何事もなかったかのようにき始めている。聞配達のバイクの音、くをるの響き。 それなのに、私の暮らしてきたこの部だけが、現実から完全に切りされていた。

私は寝へ戻り、警察官が持ち帰らなかったさなプラスチック片を拾いげた。 コンセントの隙に落ちていた、メモリーカードのアダプタケース。

『Backup / 2026.04- Log』

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