"夫の死を告げられた夜、届いた私の熟睡写真" 第2話
暗の、計の秒針の音だけが、元でやけにきく響いていた。
午317分。
枕元に置いてあった私のスマートフォンが、ブッとく震え、画面が青くった。 臓がねがった。 反射にを伸ばし、画面を覗き込む。
暗に浮かびがった通の送信者名を見た瞬、喉の奥が凍りついた。
『川 直』
……は? 息が止まった。
直? んだはずの、事故で々になったはずの、夫のアカウント。 乗っ取り? それとも、誰かが夫のスマホを拾って悪戯している? 指先が激しく震えて、画面のロック解除が度、失敗した。 度目でようやくき、メッセージ画面を表示させた。
文字はなかった。 ただ、枚の画像だけが送信されていた。
サムネイルをタップして拡した瞬、私は声にならない鳴をげそうになり、自分のでを塞いだ。
そこに写っていたのは、私だった。
ネイビーのパジャマを着て、ベッドの側に横向きに丸まり、目を閉じてく眠っている私の姿。 乱れた髪も、毛布からしはみた肩も。 そして、枕元のサイドテーブルに置かれた、半分残った湯のマグカップまで。 何から何まで、今、この部の、このベッドのそのものだった。
画面をにスワイプして、画像の詳細データを確認する。 撮刻――午307分。
たった、分。
血の気が気に引いて、の芯がツンと痛んだ。
広告
分、私は確かにこのベッドで、目を閉じてじっとしていた。 ということは。 分、誰かがこの部に入ってきて、私の枕元にち、眠っている私の顔を撮したということなのか?
全の産毛が逆ち、背筋を氷の刃で撫でられたような悪寒がる。 部の隅、クローゼットの、カーテンの裏。 今も、この暗のどこかに誰かが潜んでいるんじゃないか。 呼吸が荒くなり、酸素がうまく吸えない。
震える指で、メッセージ欄に文字を打ち込もうとした。 『あなた誰』 そう打ち終えるに。
ヴーーッ、ヴーーッ、ヴーーッ。
画面が唐突に切り替わり、着信画面になった。 表示されている名は、やはり『川 直』。
臓が破裂しそうなほど激しく打ち鳴らされる。 るべきじゃない。絶対に怪しい。 でも、もし、万が、直がきていたら? 混乱と恐怖で指が勝にき、緑の通話アイコンをスワイプしていた。
受話器をに押し当てる。 無言。 ただ、苦しく乱れた男の呼吸音だけが聞こえてくる。
「……もしもし」 私の声は、刻みに震えて掠れていた。 「もしもし……誰ですか? 直のスマホを持ってるの、誰なの?」
数秒の沈黙の。 受話器の向こうから、く掠れた声が返ってきた。
「……由紀」
聞き違いようのない声だった。 、毎朝「おはよう」と言いい、毎晩「おやすみ」と交わしてきた、あのの声。
広告
「直……? あなた、直なの? 嘘でしょ、お義母さんはあなたがんだって――」
「いいから、黙って聞け」
遮る声は異様なまでにく、切迫していた。 背から、くをるの音と、がアスファルトを叩くようなノイズが微かに混ざり込んでいる。
「今すぐ、寝のドアの鍵を閉めろ」
「え……?」
「くしろ! サムターンを回せ、今すぐだ!」
鳴り声のような囁きが朶を打った、その瞬だった。
カチャリ。
静まり返った真夜ののに、属が擦れう微かな音が響いた。 玄関のドアがく音だ。 ピッキングのような荒っぽい音じゃない。 鍵穴に鍵が差し込まれ、滑らかに回転して、ラッチがれる音。
誰かが、鍵を使ってに入ってきた。
息が完全に止まった。 直の「閉めろ!」という声がの奥で反響する。 私はベッドから転がり落ちるようにしてにをつけ、音をてないよう、裸でフローリングを踏みしめた。 歩で寝のドアにすがりつき、震える指でドアノブの鍵――サムターンを内側にひねった。
カチリ。
属のさな噛みわせの音が鳴り響いたのと、ほぼ同だった。
スッ……と、側のドアノブが、に向かってゆっくりと傾いた。
誰かが、からドアをけようとしている。 もし私が秒遅れていたら、そのドアはから押しかれていた。
ガチャ、ガチャ。
ノブが度、さくする。
施錠されていることに気づいたのか、きが止まった。 ドア枚を隔てたすぐ向こう側に、誰かがっている。