"狂人にされた私と、義母の同じ受診票" 第13話
代表社員は林介。……隆司さん、これ、おのの同級の林か?」
彦が夫を問い詰めた。 夫の顔から、先ほどまでの穏やかな笑みが完全に消え失せていた。 唇がく引き結ばれ、両目が落ち着きなく泳いでいる。
「……林が、どうしたんだよ。あいつは産の会社をやってて……」
「その会社に」
私は枚の記録を、夫の目のに叩きつけた。
「の、お義母さんのゆうちょの定期から解約された百万円が、全額振り込まれています。そして先、私たちの共座から消えた百万円も、まったく同じ座へ振り込まれている」
「百……万……?」
彦が絶句した。
「母さん、あのは……自分で投資信託に預け替えたって……」
「私がそんな会社るわけないだろうが!」
義母がテーブルを激しく叩いた。 乾いた破裂音が、静まり返った部に響き渡る。
「あの子がね、定期の預け替え類の束のに、この振込依頼を挟み込んでたんだよ! 番のに名をかせて、実印を押させて、を隠したままへ持ってったんだ! 私の字でかれているのは名だけ! 振込先も額も、全部隆司の跡だよ!」
義母はから取り寄せた伝票のコピーを彦の胸元に突きつけた。
「見なさい、彦! これが認症の母親のやることかい!? 自分の息子の跡くらい、あんたにも分かるだろう!」
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彦が伝票の文字を凝する。 そのが、刻みに震え始めた。 「……隆司の、字だ。数字の『8』のき癖……昔から変わってない」
彦は顔をげ、信じられないものを見る目で弟を見つめた。
「隆司……お、母さんのを奪ったのか? 奪っておいて……俺に『母さんがボケた』って嘘をついたのか? 俺は……俺はおの言葉を信じて、母さんに『病院へけ』って鳴ったんだぞ……!」
夫の呼吸が、目に見えて荒くなっていた。 額に脂汗が滲み、カーディガンの胸元が刻みに波打っている。
「ち、違う……! 兄さん、誤解だよ! あれは母さんのためをって……あのは産の利回りが良くて、満期のまま寝かせておくより増やしてやろうと……!」
「じゃあ、うちの百万は何!?」
私はちがり、夫を見ろした。
「宅ローンの繰りげ返済のために、私がパート代からコツコツ貯めてきたおよ! それを勝に同じ会社に突っ込んで、問い詰められたら『おは疲れてる』『被害妄だ』って……!」
「真由、落ち着けって……!」
「落ち着いてるのはあなたでしょう!」
私はもう枚の類を、テーブルに叩きつけた。 夫のブリーフケースから見つけした、弁護士への相談票の控え。
『配偶者の度精神疾患・妄癖に伴う、婚姻関係の破綻および婚請求について』
兄がその類をひったくるように奪い取り、目を通した。
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兄の顔が、りで真っ赤に染まっていく。
「……隆司さん。お、妹を病院送りにしたで、婚して財産も渡さずに追いす気だったのか……?」
「お義兄さん、それは違う! それはただの法な相談で……!」
「何が違うんだよ!」
兄が号をげた。 これまで夫の方をしていた兄が、完全に裏返った瞬だった。
「お、俺に話してきた、何て言った!? 『真由が精神におかしくなった、助けてほしい』って泣きついてきただろうが! 俺の善を利用して、妹をハメようとしてたのかよ!」
方方からの追及。 完璧だったはずの包囲網が、完全に逆転していた。 夫の方は、この部のどこにもいなかった。
夫は子からちがろうとして、をもつれさせ、テーブルの端にをついた。 その呼吸は浅く、喉からヒューヒューと音が漏れている。
「……違う……俺は……族のために……」
「林の会社、配当が止まってるわよ」
私の酷な言が、夫の息の根を止めた。
「ネットの被害者の会で、集団訴訟の準備がんでる。あなた、最初から林の自転操業に巻き込まれてたんじゃないの? 母親の百万で穴埋めして、それでもりなくて、うちの百万まで差しした。違う!?」
夫の瞳孔が、極限までいた。 顔の筋肉が引き攣り、額から顎へと汗が滴り落ちる。
「……言えよ、隆司」
彦が、絞りすようない声で言った。
実の弟を見る目ではなかった。汚い詐欺師を見る目だった。
「母さんのおは、今どうなってるんだ。