"狂人にされた私と、義母の同じ受診票" 第10話
相談内容の約が、弁護士のきで記されていた。
『配偶者の度精神疾患・妄癖に伴う、婚姻関係の破綻および婚請求について』 『財産分与における、配偶者の浪費・使途に対する対抗措置』
そして、その類の裏にクリップで留められていた、もう枚の類。
ワープロで打たれた、公正証作成のための委任状のき。 タイトルには、太字でこう印字されていた。
『庭内財務管理権限委任契約』
・甲(野真由)は、の調に伴う判断能力のを鑑み、庭内におけるすべての融資産の管理・処分権限を乙(野隆司)に包括に委託する。 ・甲は、乙の同なくして共座および自己名義座からの、解約をわないものとする。
末尾には、すでに夫の実印が鮮に押されていた。 あとは、私の署名と捺印を待つだけの状態で。
ののが、激しく震えた。
夫の狙いは、単に私を病院へ連れていくことだけではなかった。
病院で「妄性障害」あるいは「度の自律神経失調」のカルテを作らせ、それを盾にして、この類に私をサインさせる。 庭のをすべて自分の管理に置き、消えた百万円を「妻の浪費による使途」として処理する。 そして最終には、精神疾患を理由にして、円の財産分与も渡さずに私を放りす。
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すべてが、本の線で繋がった。
この男は、母親の百万円を奪ってを塞いだように。 今度は私のそのものを、銭も残さず骨の髄までしゃぶり尽くして、ゴミのように捨てる準備を完していたのだ。
その、リビングで私のスマートフォンが、けたたましく鳴り響いた。
静まり返ったのに、音のバイブレーションが響く。 引きしを急いで戻し、リビングへる。
画面にっていたのは、夫の名だった。
息をえ、通話ボタンを押す。
「……もしもし?」
『ああ、真由。起きてたか? 体調はどうだ?』
夫の声は、信じられないほど弾んでいた。 何か、決定な勝利を確信した男の、抑えきれない揚が滲みていた。
『さっき、母さんと、京の兄貴と、それから群馬のおの兄さんにも連絡したよ』
たいが、のてっぺんから爪先まで気に流れ落ちた。
『、曜の午。全員、うちのリビングに集まってもらうことになった』
夫は優しく、逃げのない宣告をすように言った。
『おがで苦しまないように、族みんなで話しおう。おの健康と、これからの庭のおの管理について、みんなのでちゃんと決めよう。……逃げなくていいからな、真由』
曜、午零分。
ダイニングテーブルの央に、茶の角2封筒をつ、ねて置いた。
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には、昨までに集めた類のコピーが、部ずつ然と収められている。
夫が所のコンビニへ、客用の茶菓子を買いにかけているわずかな。 玄関のチャイムが鳴り、先に到着した義母を招き入れた。
義母は喪のような黒いスーツを着ていた。 背筋を自然なほどまっすぐに伸ばし、元を文字に結んでいる。 テーブルのの封筒に目を落とし、く息を吐いた。
「準備はいいかい、真由さん」
「ええ。全部、揃っています」
「あの子を……隆司を、甘く見ちゃいけないよ。あの男は、昔から自分が悪者にならないを探す才だった。誰かのせいにして、誰かをかばう振りをして、最に自分だけが綺麗な顔をしてっている。そういうき方をしてきたんだ」
義母のが、微かに震えていた。 憎しみではなく、自分が数かけて育てげてしまった怪物の輪郭を、ようやく直したの震えだった。
「分かっています。になったら、あいつの勝ちです」
私は自分ののひらに爪をてた。 のひらにい込む痛みが、たいりを呼び覚ます。
午分。 玄関の引き戸がき、賑やかな音とともに夫が戻ってきた。 その背から、つのい男の声が続いて聞こえる。
「いやあ、わざわざ群馬から悪かったね、お義兄さん」
「いいえ、隆司さん。
こっちこそ、妹がとんでもない迷惑をかけているみたいで……本当に申し訳ない」
「彦兄さんも、忙しいのに助かったよ。やっぱり内だけで腹を割って話さないと、真由も落ち着かないとってさ」