みかん小説
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"狂人にされた私と、義母の同じ受診票" 第5話

通帳の記帳欄に、カタカナで印字されていた振込先の名。

トウワアセットマネジメント。

「……それ」

私の唇から、かすれた鳴のような声が漏れた。

「先……隆司がうちの座から勝にかした百万円の、振込先と……まったく同じです」

義母の目が、これ以ないほど見かれた。 老いた肌から、見るに血の気が引いていく。

の女が、ダイニングテーブルを挟んでち尽くしていた。 テーブルのには、のを隔てて作られた、瓜つの「受診状況説」。 そして、同じ受取の名が刻まれた枚の記録。

、母親を「認症」に仕てげて奪った百万円。 そして今、妻を「精神異常」に仕てげて奪おうとしている百万円。

夫が隠そうとしているのは、単なる夫婦のすれ違いでも、嫁姑の仲でもない。 このつの数字のき先。 そして、のを社会に「狂」にしてでも隠し通さなければならない、底れないの正体だった。

「……同じ、会社」

義母の声が、ダイニングの静寂に吸い込まれて消えた。 テーブルのの枚の。 の義母宛てのものと、昨夜プリンターから吐きされた私宛てのもの。 タイトルも、フォントも、並ぶ文言のたさも、何ひとつ変わらない。

『受診に伝える活状況について』

そして、そのの裏側に潜んでいる、同じ振込先。

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アセットマネジメント同会社。

百万円と、百万円。 わせて千百万円ものが、このから、同じ穴へと消え失せている。

胃の奥が雑巾のように絞られた。 息を吸おうとしても、肺の半分も膨らまない。

「……真由さん」

義母が私の首を掴んだ。 骨張った指先が、痛いほど私の皮膚にい込む。 え切った指だった。 嫁である私を見し、息子の方ばかりしてきたあの義母のが、刻みに、止まることなく震えている。

「あの子は……隆司は、私たちを何だとっているんだい」

絞りすような声だった。 りというよりは、自分の血を分けた息子に対する、底れない恐怖。

計の針が、無慈に午を指した。

「……お義母さん、をしてください」

私は自分の声を、識してく落とした。 震えをにしてしまえば、っていられなくなる。

「がありません。病院の予約は半です。夫は休を取って、向こうで待ち構えている」

「……くつもりかい?」

「くわけがありません」

私はダイニングの子を乱暴に引いて腰をろした。 元のスマートフォンを睨みつける。

もし予定通りに病院へけば、私は「病識のない患者」として医師のに座らされる。 夫はあの用を提し、私が何を言おうと「ほら、妻はおのことで混乱しているんです」

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としげに微笑むだろう。 義母が緒についていったところで、「嫁と姑が結託して被害妄を膨らませている」と片付けられるのが関のだ。 、義母がで物忘れ来に連れていかれたと、まったく同じ構図になる。

相は、世体を方につけるプロだ。 会社の板があり、当たりのいい課で、親族のでも「来た息子」として通っている。 に叫んだ側が、自に「異常」の烙印を押される。

「まずは、今の罠を躱します」

私は画面をタップし、夫の携帯番号を押した。 コール音が回鳴る。 く息を吸い、喉の奥の筋肉を緩めた。

「もしもし、真由? どうした、もう準備できたのか?」

スピーカーから流れてきた夫の声は、信じられないほど穏やかだった。 会社のデスクからだろうか。くでキーボードを叩く乾いた音が混ざっている。

「……ごめんなさい、隆司さん」

私はわざと、掠れた、々しい声をした。

「朝から……激しい眩暈と吐き気が止まらなくて。さっきからトイレからられないの」

話の向こうで、キーボードの音がぴたりと止まった。

「……眩暈?」

「ええ。ちがろうとすると、界が回ってしまって……とても病院までけそうにないの。本当にごめんなさい。せっかく予約を取ってくれたのに」

数秒の沈黙。 その沈黙のさに、私はスマートフォンの角を握りしめた。

夫のので、計算の歯が速で回転している気配が伝わってくる。

嘘だと疑っているのか。

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