"狂人にされた私と、義母の同じ受診票" 第3話
昔気質の頑固なで、結婚当初から私の事やパート勤めに言ばかり言ってきただ。 私のことを「気の利かない嫁」「息子の稼ぎをいつぶす女」と決めつけ、これまで度として方になってくれたことなどない。
その義母が、茶のウールコートを着て、い表で玄関先にっていた。 には、し角の折れた茶封筒を抱えている。
居留守を使おうかという考えが瞬よぎった。 だが、チャイムはもう度、今度は苛ちを隠さないさで鳴らされた。
覚悟を決めて、鍵をけた。
「……お義母さん。どうされたんですか、こんな朝くに」
チェーンをかけたままドアをしだけけると、義母は私を瞥した。 その瞳には、いつもの嫁を品定めするようなの悪さはなく、どこか張り詰めた、異様なが宿っていた。
「隆司は?」
「会社へきましたけど」
「そうかい」
義母はチェーンの隙に線を落とすと、い声で言った。
「けなさい。ち話をする内容じゃない」
普段の私なら構えて拒否しただろう。 だが、義母のただならぬ気配に押され、私はチェーンをした。
義母は靴を脱ぐと、用したスリッパにも目を通さず、まっすぐリビングへと歩いていった。 そしてダイニングテーブルの子を引いて腰をろすと、抱えていた茶封筒をドンと机のに置いた。
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「お茶もらないよ。……真由さん、単刀直入に聞くよ」
義母は皺の刻まれた顔をげ、私の目をまっすぐに見据えた。
「隆司は、あんたを病院へ連れていくつもりだろう」
背筋が凍りついた。
「……どうして、それを」
声が震えた。 夫が義母にまで根回しをしていたのか? 「真由が精神におかしくなったから、病院へ連れていく」と、母親である義母に吹き込んでいたのか? だとしたら、義母は私を説得しに、あるいは監しにここへ来たのか。
私の警戒を察したのか、義母はたくを鳴らした。 だが、その線は私を責めるものではなかった。 自嘲するような、苦い歪みを元に浮かべていた。
「あの子から昨の夜、話があったのさ。『真由が最おかしい。おのことで被害妄を起こして俺を疑う。、病院へ連れていくから母さんも配しないでくれ』ってね」
やっぱり。 夫は堀を埋めていたのだ。 私の実の兄にも、自分の親族にも、同じように「病気の妻を抱える献な夫」のシナリオを配っていたのだ。
「お義母さん、私は……」
弁しようと言葉を探した瞬、義母がをげて私を制した。
「言い訳なんてしなくていい。あんたの顔を見れば分かるよ。寝てないね。晩、恐怖で喉も通らなかったんだろう」
義母は茶封筒の紐を解いた。 からてきたのは、何にも折り目のついた、し黄ばんだA4のコピー用だった。
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「これを見なさい」
テーブルを滑って私の元に差しされた。 それを受け取った瞬、私の呼吸が完全に止まった。
用の最段。 そこに印字されていた文字。
『受診に伝える活状況について』
昨夜、自宅のプリンターで見つけたものと、タイトルも、レイアウトも、全く同じだった。
震える指で、面を目で追う。
・母親の認能、および銭管理に対する被害妄の兆候。 ・満期を迎えた定期預について、息子が無断で引きしたとの根拠なき主張。 ・通帳や実印の保管所を忘れ、族が盗んだと言い張る言。 ・本に加齢による衰えの自覚(病識)がなく、族の説得に激昂する傾向。 ・医師におかれましては、本の自尊に配慮し、まずは般な物忘れ来の枠組みで診察をお願いしたい。
落款の付は、の。 記載されていた医療関の名は、今の午、私が連れていかれる予定の「民総病院」だった。
「……これ」
声にならなかった。 掠れた息だけが漏れた。
義母は腕を組み、窓のの暗い空を睨みつけながら、く掠れた声で語り始めた。
「の先だよ。私のゆうちょの定期が満期になった。百万円ちょっとだ。、あので爪にをともすようにして貯めてきたさ。それを普通預に移して、し元に置いておこうとったら、座から消えてたんだよ」
義母の指先が、テーブルのでく握りしめられた。