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"五万円で捨てられた娘" 第6話

ここには、お母様が最にされた、もうつの『決断』が眠っています」

封筒の封蝋は、まだ固く閉ざされていた。 表面には、母の震える跡で、たった言だけかれていた。

――美咲へ。あなたのを、きなさい。

「先、これは……」

私が息を呑んだその瞬、応接の静寂を切り裂くように、私のスマートフォンがけたたましく鳴り響いた。

画面に浮かびがったのは、兄の名ではない。 ――『真理子』。 あの、酷な笑みを浮かべていた義姉からだった。

森田弁護士が無言で頷く。 私はを決して、通話ボタンをスワイプした。 に当てた瞬、受話器からびしてきたのは、義姉のヒステリックな、しかし勝ち誇った嘲笑だった。

『もしもし、美咲ちゃん? 今、どこにいるの? まさか逃げ回れば済むとってないわよね』

息を殺す私をあざ笑うように、義姉は信じられない言葉を告げた。

『直さんがね、親戚同に全部連絡したわよ。今度の曜の正午、実に全員集まることになったから。おじ様もおば様も、みんな来るわ。あんたがどれだけ恩らずで、認症になりかけのお母様を囲い込んで、実を乗っ取ろうとしてるか……親族全員ので、黒ハッキリつけてもらうからね』

背の毛穴が総毛つのが分かった。 親族全員。 私が養子であることを、叔父や叔母たちので、公処刑のように吊るしげる気だ。

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『曜のよ。分でも遅れたら、あんたの荷物、全部庭で燃やすから。じゃあね』

方に通話が途切れた。 部のに、再び静寂が戻る。

私のは、たく直していた。 しかし、その震えは、昨夜のような絶望からくるものではなかった。 胸の奥く、母が遺してくれた封筒を見つめる私の瞳の奥で、静かで、決して消えない炎が、さく灯っていた。

通話が切れたスマートフォンの画面を、指先で見つめたままけなかった。

画面には、義姉の無質な番号の履歴だけがくっている。 親族全員を集める。 曜、正午。 実の座敷で、私の「養子」という元を晒しげ、公処刑にする――。

喉の奥が引き攣り、うまく息が吸えなかった。

「……先」

絞りすような私の声に、森田弁護士は静かに応接机のの類をえ直した。 鏡の奥の差しには、揺のは微もなかった。

「美咲さん。焦る必はありません。相が内を員してを荒らそうとするのは、持ちの法なカードが何ひとつない証拠です」

「でも、親戚たちが来たら……伯父も叔母も、みんな兄の方をします。昔からそうでした。男だから、跡取りだからって、母ですら兄にはく言えなかったんです」

「方をさせればいいのです」

森田弁護士はく言った。 その声は、徹なまでに静だった。

「法と事実は、論の先にある。

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ただ、曜のに確認しておくべきことがあります。直さんがなぜ、そこまで急いでいるのか。その『期限』の正体です」

弁護士は帳から切り取った枚のメモを私に差しした。 そこには、実の最寄り駅にある産仲介業者の支名と、担当者の名がりきされていた。

「相は、今に実を更にして売り払う提で、買いとの仮契約を急いでいる節がある。美咲さん。まずは敵が背負っている『タイムリミット』を、あなた自の目で確かめなさい」

法律事務所をたで、私は織の運転する軽自に乗り込んだ。 織はハンドルを握りしめながら、フロントガラスの向こうを睨みつけていた。

「等じゃない。親族総で吊るしげ? どこの代の分よ。美咲、絶対に怯んじゃダメ。まずその産、乗り込むわよ」

はの乾いたをり、実の隣駅にあるロードサイドの産へと滑り込んだ。 ガラス張りの内には、派な『期売却・秘密厳守』ののぼりが何本もはためいている。

内に入り、森田弁護士から聞いた担当の営業マンの名刺を求めると、代半ばの男が怪訝そうな顔で奥の商談スペースから現れた。 私が母の氏名と実の所を告げた瞬、男の表が骨に張った。

「……悦子様のご実の件ですか。

本は、直様とご緒ではないのですか?」

「私は、悦子の娘の美咲です。

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