"境界の桜庭茶房 ~現代飯と国宝で、どん底から人生やり直します~" 第6話
よりが持ち込んだ数々の名品に驚嘆した教授が、ぜひ彼女を主賓として招きたいと直々に配したものだった。
しかし、その会には――かつてよりを獄に突き落とした張本、綾瀬美央の姿があった。 美央は今やSNSで数万のフォロワーを抱える気インフルエンサー気取りで、取り巻きを引き連れて会を練り歩いていた。
よりは迷った末、この因縁に決着をつけるため、会へ向かうことを決めた。 に纏ったのは、異界の宮から賜されたという、の古代織物『赤織(あかつきおり)』で仕てられた優美な着物。そして首元には、榊原将軍から贈られた、本物の真珠と宝の鳳凰首飾りを結んでいた。
会にを踏み入れた瞬、その圧倒な気品と美しさに、周囲の招待客たちの線が斉によりへと注がれた。
「あら……? 見て、あの子」 「なんて見事な着物かしら。あんな織物、博物館でも見たことがないわ」
そのざわめきに気づいた綾瀬美央が、取り巻きの浜彩佳を引き連れてよりのにちはだかった。美央の顔には、隠しようのない嫉妬と侮蔑のが張り付いている。
「ちょっと、よりじゃない! あんた、よくもそんな恥らずな顔でここに来られたわね! ここは流階級や流の文化しか入れない所よ。貧乏のあんたが紛れ込んでいい所じゃないの!」
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「私は招待状をいただいて来ています。あなたにとやかく言われる筋いはありません」 「嘘ばっかり! どうせパパ活か何かで紛れ込んだんでしょ? 皆さん、見てください!」
美央はスマートフォンの配信画面をちげ、フォロワーに向けて声でよりを指差した。
「この女、私のの同級なんですけど、のに私の母の形見の級ネックレスを盗んだ科者なんですよ! それなのに見て、この着物! それにその首飾り……の超級ブランド『GF』が世界に点限定で作った数千万円の作の、あからさまな偽物をつけて見栄を張ってるんです!」
会のセレブたちがざわめき、ややかな線がよりに集する。 美央は勝ち誇った笑みを浮かべ、よりの首元へ乱暴にを伸ばした。
「偽物はね、こうしてやるのよ!」
ブツンッ、と鈍い音が響いた。 美央のによってく引っ張られた首飾りの留め具が弾けび、粒の真珠と宝の珠が、理の面に激しい音をてて散らばった。
「ああっ……!」
に転がる無数の宝玉。よりの瞳にりの炎が宿る。守が、自らの命を救ってくれた礼にと託してくれた、切な宝物だった。
「……何をするのよ!」 「ふん、偽物を壊されたくらいで袈裟ね! 弁償してほしければ、本物の証でもしてみなさいよ! 盗の分際で!」
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その、会の奥から鳴のような声が轟いた。
「ええい、何事だ! 誰がが会館で狼藉を働いておるか!!」
混みを割り、髪を逆てて現れたのは、本屈指の文化財鑑定権威・榊原正教授だった。 美央は都よく被害者面を作り、教授に駆け寄った。
「榊原先、聞いてください! この女がGFブランドの偽物をつけて潜り込んでいたので、私が成敗して――」
教授は美央の言葉を最まで聞かなかった。に散らばった真珠のつを拾いげた瞬、そのが刻みに震えしたのだ。
「愚か者が……! GFブランドだと!? この浅学菲才の娘が、何を寝ぼけたことを抜かしておるか!!」
教授の号に、美央は凍りついた。
「先……? 何を仰って……」 「GFブランドの匠はな、数にが国で発見された古代王朝の文献図案を、奴らが買い取って模倣しただけの紛い物に過ぎん! だが、この首飾りを見よ! このみのある沢を放つ珠は、数百百に絶滅した本物の古代真珠! そしてこの宝との彫細は、失われた王朝の宮廷職にしか成し得ぬ神業! これこそが、が榊原に代々絵姿として伝わる、族の至宝の至宝……本物の国宝級文化財ではないか!!」
「こ、国宝……!?」
会が息を呑み、静まり返った。美央の顔から血の気が引いていく。
「何ということをしてくれたのだ……! この真珠は、現代の科学技術をもってしても度とに入らんのだぞ! 文化財損壊罪、器物損壊罪……罰がるぞ、この無礼者が!!」