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"消えた新郎と「探すな」と言った花嫁" 第6話

声のトーンが、段くなる。

「警察など呼べるわけがないだろう。今、この式に誰が来るとっている。うちのメインバンクの支だけじゃない。来期の型契約を控えた取引先の役員が、社以参列するんだ。パトカーが乗り付けられたりしてみろ。相沢商事の信用はどうなる」

「信用……? 兄ちゃんの命より、会社の世体が事なの!?」

「当たりだ!」

父のが、控のテーブルを激しく叩いた。 乾いた衝撃音が部に響き、グラスが震える。

「いいか、披宴は定刻通りに始める。瀬君が緊張しての空気を吸いにただけなら、もすれば青い顔をして戻ってくる。騒ぎして親族の恥を晒すな!」

私は、父の顔を見つめていた。

喉の奥が、からからに渇いていく。 このは、悠が消えた理由に、本当に当たりがないのだろうか。 昨夜、悠がフロントに話をかけてまで止めようとした「あの映像」のことを、本当にらないのだろうか。

「真帆ちゃん」

私は真帆ちゃんの腕を掴んだ。

「倉田さんと緒に、階の防災センターへって。警察の活全課に話して、事を話して。……の失踪だからすぐにはいてくれないかもしれないけれど、携帯も財布も置いたままっていう状況なら、現確認に来てくれるはずだから」

「美紀!」

父がのような声をげた。

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「お、誰に指図している! 私の言うことが聞けんのか!」

「聞いてたら、悠がぬかもしれない」

私はまれて初めて、父の目を真正面から見据え、瞬きもせずに言い放った。

「世体なんて、どうでもいい。悠を探すのが先よ」

父の顔が、りで赤黒く染まっていく。 だが、私が歩も引かないのを見て取ると、吐き捨てるように言った。

「勝にしろ。ただし、ロビーで客のをうろつくな。裏の業務用通を使え」

父はそう言い残し、コートの裾を翻して部をてった。 扉が閉まる瞬まで、父の背は完璧な「威厳ある経営者」の形を保っていた。 その姿に、私は寒気を覚えた。

真帆ちゃんが倉田さんと共に警備へと向かった、私は、の宴会管理フロアへとった。

目指すのは、音響・映像調。 披宴のを裏で支える、スタッフの詰所だ。

悠が昨夜分、自らので止めようとした映像。 『彼女の父親には絶対にられないように』とを押した、あのデータの正体を突き止めなければならない。 悠がなぜ、私との約束を破ってまでホテルに留まり、その映像に執着したのか。 その理由が、そこに眠っているはずだった。

「相沢様、こちらです」

息を切らして駆けつけてくれた倉田さんの部のスタッフが、カードキーをかざして調のドアをけてくれた。

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暗い内には、無数のモニターとミキサー卓が並んでいる。 壁際の棚には、今の披宴で使われるディスクや付けハードディスクが、テプラで几帳面に分類されていた。

【相沢・瀬両披宴 11:30宴】

その棚の真んに置かれた、黒いポータブルSSD。 ラベルには、赤マジックでこう殴りきされていた。

『相沢会ご指定・特サプライズ映像(差替厳禁)』

差替厳禁。 その文字を見た瞬、臓が肋骨の内側を激しく引っかいた。

「これです」

スタッフが震えるでSSDをパソコンに接続し、プレビュー用のモニターにウィンドウをちげた。

「昨夜、藤堂さんが最終納品として持ち込まれたマスターデータです。本来なら昨の昼に最終チェックが終わるはずだったのですが……藤堂さんが『会からの追加望で、編集のカット割りをどうしても変更しなければならなくなった』と、夜過ぎに持参されたものです」

「……再してください」

スタッフがマウスをクリックした。

暗い画面に、ピアノの厳かな旋律が流れ始める。 画面がフェードインし、ホテルのラウンジの角が映しされた。

そこに映っていたのは――私だった。

ヶ。 ドレスの試着が終わった、藤堂さんに「カメラのピント調とマイクの音声テストをさせてほしい」と呼び止められたの映像だった。

私は私のままで、元にはアイスティーのグラスがあった。

『美紀さん、インテリアデザイナーのお仕事、すごく順調そうですね』

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