"消えた新郎と「探すな」と言った花嫁" 第4話
私の臓が、ドクンと嫌なね方をした。
線が、ドレッサーのに落ちる。 黒い充ケーブルに繋がれたままの、悠のiPhone。 その横には、彼がいつも使っている革の財布が、そのまま置かれている。
……え?
待って。 どういうこと?
昨夜、部をる、悠は確かに言っていた。 『荷物は最限にして、スマホと財布だけポケットに入れてるよ』と。
なのに、なぜそれがここにあるの?
それに――あの防犯カメラの記録。 【23:23】に、悠がフロントにかけたという話。
『の披宴の途で流す予定の、あの映像を絶対にキャンセルしてくれ』
全の血が、急速に引いていく。
私と悠が部で話しっていた、映像の話なんて言もなかった。 式そのものをボイコットするのだから、披宴の演映像がどうこうなんて、気にする必すらないはずだった。
なのに悠は、私と別れた分に、フロントへ話をかけて映像の映止を訴えている。 しかも、『父には絶対にられないように』とを押して。
「倉田さん」
私の声は、すでに震えていた。
「悠が……悠がキャンセルしろと言った映像って、何の映像ですか? プロフィールムービーは、業者に頼んで写真のスライドショーを作ってもらっただけのはずですよね?」
倉田さんは、躊躇するように線を泳がせた。 だが、事態の異常さに耐えかねたのか、を決したようにをいた。
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「……それが、相沢様のお父様から、先週、追加のご指示がございまして」
「父から……?」
「はい。『サプライズとして、披宴の盤に特別なドキュメンタリー映像を流したい』と。映像制作を担当している藤堂修平さんのプロダクションに、お父様が直接額の追加費用をお支払いになり、発注されたそうです」
藤堂修平。 ホテルの専属ブライダルビデオを掛けている、フリーの映像ディレクターだ。 式の打ちわせの際、、度顔をわせたことがある。の良い、代半の男だった。
「その映像の内容を、倉田さんはっているんですか?」
「私どもも、昨夜納品された完成版のプレビューをすべて確認したわけではございません。ですが……瀬様は昨の午、度その映像の仮編集版をご覧になり、非常に激されたと伺っております。『この箇所のインタビューは今すぐ削除してくれ』と、藤堂様にく抗議されていたと」
「インタビュー……?」
「はい。お父様の単独インタビューと……それから、相沢様ご自のインタビューです」
目のが、真っ暗になった。
私自の、インタビュー? そんなもの、受けた覚えはない。
公式の打ちわせのに、藤堂さんがカメラのテストだと言って、雑談混じりにいくつか質問をしてきたことはあった。 『結婚しても仕事は続けるんですか?』 『もし、お父様から業を継ぐように言われたらどうしますか?』 そんな、何気ない問いかけだったはずだ。
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まさか、あれを勝に編集して、披宴で流すつもりだったの……?
「……待って」
真帆ちゃんが、青ざめた顔で私の肩を掴んだ。
「お姉さん、さっき『品川のマンションで流するはずだった』って言ったよね? 兄ちゃんがそこにいるか、確認したの?」
背筋に、氷を押し当てられたような悪寒がった。
確認していない。 私は、昨夜部に戻ってから極度の緊張と疲労で識が朦朧としており、今朝フロントから話がかかってくるまで、悠はとっくに品川の部に潜り込んで待っているものだと信じ切っていた。 悠のスマホがここにある以、彼と直接連絡を取る段はない。
私は震えるで自分のバッグからスマホを取りした。 居のマンションは、最のスマートロックが導入されている。 管理会社の専用アプリをけば、部の子錠がいつ錠されたかのログが、リアルタイムで確認できるはずだった。
画面をタップする。 指が激しく震えて、パスコードを度打ち違えた。
臓の音が、蓋骨の内側に反響する。
頼むから。 お願いだから、錠ログがあって。 悠がそこにいて。
アプリの管理画面がいた。
【品川区品川◯丁目 レジデンス・オーク 302号】
画面央に表示された最の履歴。
――【最終錠記録:4 16:42(内クリーニング完)】