"一日五百円で飼われた妻" 第21話
特に、このエクセルの記録は決定ですね。妻の、支、部との接触を事細かに監し、点数をつけて管理していた。しかも、娘さんを利用して母親のを監させていた為は、児童虐待(理虐待)の側面すら持ち得ます」
野先は元のメモにペンをらせた。
「ご主は、万円の切れとボロアパートをあてがって、あなたを無文で追いすつもりだったようですが……本の法律を甘く見てもらっては困ります。婚姻期。このに築いた財産は、専業主婦であっても分のを受け取る権利があります」
「分の……ですか?」
「ええ。世田のマンションの査定額、ご主の名義の普通預や定期預、投資信託、そして将来支払われる退職の見込み額。これらすべてが財産分与の対象です。さらに、別居期の婚姻費用(活費)の請求、そしてにわたる精神苦痛に対する慰謝料の請求も野に入ります」
私は胸の奥がくなるのを覚えた。
彦は私に言っていた。 『万円も包んでやるなんて、仁至義尽だ』と。 だが、それは彼の歪んだマイルールのでの施しに過ぎず、法と正義の秤のでは、ただの当な搾取の隠蔽に過ぎなかったのだ。
「野先、お願いします。彼から円でもく毟り取りたいわけではありません。
広告
ただ、私が、あのできてきたと尊厳を、正当な形で取り戻したいんです」
「分かりました。任せてください。ここからは、私の仕事です」
野先が受任通を彦に送付したそのから、彦から私への直接の連絡はピタリと止まった。 法という社会の徹なルールをにして、彼は初めて、自分が私のに君臨する「絶対な神」ではなく、ただの個の民に過ぎないことを突きつけられたのだ。
*
調が始まったのは、初のことだった。
庭裁判所の暗い廊で、私は彦と直接顔をわせることはなかった。申と相方は別の待に通され、調委員を介して交互に話をするシステムになっていたからだ。
調委員のから伝えられる彦の主張は、どこまでも往際の悪いものだった。
『妻は昔から銭覚がおかしく、庭を破綻させかけた』 『自分は族を守るためにやむを得ず計を元管理していただけで、虐待ではない』 『妻が突然、娘を唆してをてった。自分こそが被害者だ』
彦は依然として、自作の「優しい保護者の物語」にしがみつき、調委員ので涙ながらに訴えていたらしい。
だが、野先が提した証拠の束が、その欺瞞を容赦なく剥ぎ取った。
にわたるエクセルシートの原本データ。
広告
そこには、私の「自度」を測る勝な基準や、「妻転居・卒業」と名付けられた追放計画が、彼自のパソコンのタイムスタンプとともに記録されていた。 さらに、音自が自発に作成した陳述が提された。
『父は私にお遣いを乗せして、母のレシートを盗み撮りさせました。父が母をバカにしている姿を見るのが、ずっと苦痛でした。私は母の方です。父と緒に暮らすは切ありません』
娘からのそのを見た、彦は調で完全に言葉を失い、青ざめて震えていたという。
さらに、弁護士の職権によって示された彦の隠し座からは、千万円を超える貯蓄と価証券が見つかった。 私に百円、百円の銭を投げて「訓練だ」とのたまい、万円で追いそうとしていた男が、裏では自分名義の座にそれだけの資産を抱え込んでいたのだ。
調委員の態度は、回を追うごとにややかなものへと変わっていった。 『佐藤さん、あなたのやっていたことは教育でも保護でもありません。配偶者の性を否定する支配です』 調委員からそう突き放された、彦はついにを抱えて崩れ落ちたという。
最終に、調は回目の期で成した。
彦は世田のマンションを売却せざるを得なくなり、売却益と預貯をわせた財産分与として、私に千百万円が支払われることになった。
さらに、分割の続きも完し、音が学を卒業するまでの学費と養育費も、公正証によって制執の担保付きで取り決められた。