みかん小説
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"一日五百円で飼われた妻" 第20話

私は温かいお茶の缶を両で包み込んだ。 アルミの表面から、じんわりとしたが、えた指先に染み渡っていく。

あのに、鉄格子の窓はなかった。 玄関に、頑丈な京錠がかけられていたわけでもない。 それでも私は、、違いなくあのに閉じ込められていたのだ。

でも、もう違う。

夜空を見げると、灯のの隙に、のがつ、静かに瞬いていた。 私は温かいお茶のプルタブをけ、ゆっくりとんだ。

は曜だ。 何に起きてもいい。 朝に何を焼いてもいい。 どこへかけても、誰と会ってもいい。

私のは、私のものだ。

私はお茶の缶を握りしめ、自分ので、自分の部へと続く階段を、段ずつ、力く踏みしめて登っていった。

料亭の座敷をにしたあのから、私の本当の「戦い」が始まった。

ドラマや説なら、鍵を叩き返してちった瞬に拍采で幕がりるのかもしれない。けれど、現実の活はそうはいかない。の結婚活を法に清算し、の自したとしてこの社会に根を張るためには、いくつもの々しい続きを踏む必があった。

彦からの連絡は、そのの夜から始まった。

スマートフォンの通が、狂ったように鳴り響いた。 着信拒否をすれば職や音のところへ押しかけてくる危険があったため、通音だけを消し、メッセージはすべて証拠として残すことにしていた。

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画面をくと、そこには彦の混乱と執着が、文となって渦巻いていた。

『由美、頼むから静になってくれ。あので音の、僕もしになってしまったことは認める』 『だが、君ができていけるわけがないだろう。歳で、も僕の扶養に入っていたんだ。世の厳しさを君はらなさすぎる』 『あの造アパートの契約はまだきてある。活準備の万円も、君が謝って戻ってくるなら万に増やしてもいい。今ならまだにう。音のためにも、僕の元に戻りなさい』

命令、願、そして脅迫。 それらが数おきに交互に送られてきた。 彼にとって耐え難かったのは、妻を失ったことではない。自分がかけて築きげた「絶対な庇護者」という役柄から、妻が勝にりてしまったことだった。

には、案の定、義母からも話が入った。 私は度だけそれにた。

「由美さん! あんた体何を考えてるの! 彦が会社も休んで寝込んでるのよ! あんなに優しい夫に恥をかかせて、娘まで巻き込んで……親孝にも程があるわ! 今すぐ帰って彦に座して謝りなさい!」

話で喚き散らす義母の声を聞きながら、私はめたお茶をんだ。 以の私なら、胃が縮みがり、臓を震わせて平謝りしていただろう。

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だが、そのの私のには、さざ波つたなかった。

「お義母さん」

「何よ!」

「今までお世話になりました。これからのご連絡は、すべて私の代理を通してお願いします」

「はあ!? 代理って何よ、気な――」

私はそれ以聞かずに通話を切り、番号を着信拒否にした。 もう、あの親子の嫌を伺う義理は、私にはミリも残っていなかった。

*

週け、私は区役所の女性相談窓の佐藤さんに紹介してもらった、法テラスの弁護士事務所を訪れていた。

担当してくれたのは、代半ばの女性弁護士、野先だった。 物静かだが目の奥にいを宿した先は、私が持ち込んだ資料――スマートフォンの写真フォルダに保されたあのエクセルの記録、々のレシートチェックのノート、音のLINEのスクリーンショット、そして彦から届いたメッセージの数々――を、枚ずつ丁寧に確認していった。

すべての資料を見終えた、野先は鏡をし、いため息をついた。

「……由美さん、本当によく耐えて、これだけの証拠を残されましたね」

「これって、法にはどうなるんでしょうか……相はもげていませんし、鳴られたこともほとんどありませんでした。『君のためをって』と言われ続けてきたんです」

私のそうな言葉に、野先はきっぱりと首を横に振った。

「これはな、精神・経済モラハラ(DV)です。

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