"処刑寸前の冷宮幼女、心の声で国を救う" 第13話
「退きなさい! 私は国の母です!」 引に帳を潜ろうとした皇后のに、帳の奥からく掠れた、だが紛れもない皇帝の声が響いた。
『――失せよ』
皇后のが止まった。 その声には、確かにに瀕した者の苦悶と、衰した気配が滲んでいた。 (……違いない。毒は完全に回っている。あの暴君が、たった言で私をがらせるなど、命脈が尽きかけている証拠……!)
皇后は酷な笑みを元に浮かべ、礼して退した。 「では、陛。お事になさいませ」
殿をるなり、皇后は腹の侍女に密命をした。 「今すぐの楚王様へらせなさい。【今夜、兵を率いて皇宮へ攻め入れ。私が内側から正をく】とな!」
*
子の刻。 漆黒のに包まれた皇宮に、突如として無数の喊声が轟いた。
反乱軍を率いる楚王が、皇后の引きによってかれた玄武を破り、崩を打って宮へと侵入したのである。 反乱兵の刃が迫る、皇后は勢を率いて福殿を包囲した。
逃げを失った謝氏と々のに、甲冑を纏った皇后が姿を現す。 その瞳には、積の狂気と勝利の歓が燃え盛っていた。
「逃げられるといましたの? 賢妃、そしてその娘」 皇后は抜の剣を謝氏の胸元へと突きつけた。 「陸原はもうにました。今宵、この国は楚王様のものとなり、私はたな皇后として君臨するのです。
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そなたたち賤な親子は、ここでと消えなさい!」
謝氏が々を背に庇い、毅然としてちはだかった。 「皇后様……陛はおくなりになったばかりです。かつてを誓った夫を裏切り、反乱の引きをするなど、に背く為です!」
「黙りなさい! 私と楚王様は幼馴染みだったのよ! 陸原が横から奪わなければ、私たちは結ばれていた! あの男に毒を盛ったのは私よ! くねばいいと、毎呪っていたわ!」
その狂乱する姿を見つめながら、々は静に、鋭い声を投げかけた。 「……ねえ、皇后様。本当に、楚王様があなたをしい皇后にしてくれるとってるの?」
皇后の眉がピクリとねた。 「……何だと?」
々は歩にて、歳の子供とはえぬ怜悧な線を向けた。 「楚王様にとって、あなたはただの内通者、使い捨ての駒だよ。夫を殺して国を売った悪女を、しい皇帝が正妻にするとう? の民が納得するはずないじゃない。玉座をに入れたら、楚王様は真っ先にあなたを殺して、過の恥を消しるに決まってるよ」
「を慎みなさい、気な娘が!」 皇后が逆して剣を振りげようとした、その。
い音とともに、血塗られた剣を提げた楚王が姿を現した。 「楚王様!」 皇后は剣を捨て、する男の胸へとびつこうとした。 「やりましたわ! 皇宮は制圧されました! これで、私たちは永に――」
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だが、楚王は酷にその体を突き放した。 「……煩わしい女だ」
「え……?」 皇后の顔が、信じられないものを見るように凍りついた。 楚王は蔑みの線を投げかけ、吐き捨てるように言った。
「この娘の言う通りだ。夫を毒殺した義密通の悪女を、朕が皇后にするわけがなかろう。貴様の族の兵力と、宮の鍵をに入れるためだけに、甘い言葉を囁いてやったまでのこと。……役たずの阿呆めが」
「嘘……嘘よ、楚王様! していると、おだけだと言ってくれたではありませんか!」 皇后の痛な絶叫が殿に霊する。 男のために魂を売り、国を裏切り、全てを捧げた結末が、この酷な裏切りであった。
「ね」 楚王が謝氏と々、そして皇后もろとも切り捨てようと剣を振りげた――その刹。
極殿の方の根から、無数の松のが斉に灯った。 夜空を黄のが照らしし、弓を引き絞った数千の吾と羽林軍が、反乱軍を完全に包囲していた。
そして、正面の玉座の階段から、黒に輝く豪奢な甲冑を纏った男が、静かに歩みてきた。
陸原であった。 その顔には毒の気配など微もなく、修羅のごとき覇気が満ち満ちていた。
「な……ば、馬鹿な!?」 楚王が退り、息を呑んだ。 「毒でんだはずでは……!?」
陸原の唇に、残忍な笑みが浮かんだ。 「朕が貴様らの浅な企みに気づいておらぬとでもったか? の貴様の私兵団は、すでに羽林軍のによりことごとく鎮圧された。
援軍など、どこからも来ぬぞ」