"処刑寸前の冷宮幼女、心の声で国を救う" 第5話
「謝氏。の当な扱い、義であった。本よりそなたを【謝嬪(シャひん)】に封じ、福殿を賜する。直ちに宮をて、たな宮殿へと移るがよい」
「へ、陛……! もったいなき極みにございます……!」 謝氏は涙を流して拝跪した。
その傍らで、々は胸を撫でろしながら、激しくので呟いていた。
(ふぅー、危なかった! でもこれでママの全と温かいご飯は確保できたね! ……まあ、この暴君がにんで国が滅びるなら、位ががったところで焼けになんだけどさ。脱計画の準備をめなきゃ)
陸原の眉が、微かにねがった。 ――また、それだ。 この娘は、朕がぬと本気で信じ込んでいる。
「々」 「は、はいっ、父!」 「より、毎辰の刻に御へ参れ。朕が直々に文字を教えてやる。……玉杯の修理の捗も、併せて確認せねばならぬからな」
「ええっ!?」 々はわず素っ頓狂な声をげた。 御で、暴君とマンツーマンでお勉!? そんなの、フラグの塊ではないか!
だが皇帝の命令は絶対であり、々に拒否の余など残されていなかった。
*
翌朝から、々の受難の々が始まった。 豪奢な福殿へと引っ越しを済ませたものの、息をつく暇もなく御へと連されたのだ。
「読め」 御の広な卓のに、の背丈ほどもあろうかという奏文のが積みげられていた。
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陸原は徹な顔で、歳の々のにその束を突きつけた。
「ふ、父……々はまだ歳で、字なんて読めません……」 「嘘をつくな。先ほどからそのので、淀みなく平満を垂れ流しているではないか」 「えっ!?」 「……いや、何でもない。読めぬというなら、読めるように仕込むまでだ」
(うわ、鬼! 悪魔! 児童虐待で通報してやりたい! 歳児に漢文の公文を読ませてどうするつもりよ! ……あーあ、お腹痛くなってきた、仮病使って帰りたい……)
々がお腹を押さえてうずくまろうとした瞬、陸原が卓のに平糖の詰まった瓶を置いた。 「冊読み終えるごとに、つやろう」
々の痛がっていたはずの腹痛が、奇跡な速度で消えった。 (よし乗った! 背に腹は変えられない、世の能をフル稼働させてサクッと終わらせてやる!)
々は奏文をめくり、すらすらと読みめ始めた。 その姿を観察しながら、陸原は彼女の声に全神経を集させていた。 そして、ある冊の文に々のが止まった瞬――。
(……ゲッ、これ、兵部卿の喬秉(キョウ・ヘイ)の奏文じゃん。祁妃(キヒ)の親父のやつ!)
陸原の瞳が細められた。 祁妃は、第皇子を産んだ力な武官の娘であり、宮でも皇后に次ぐ権勢を誇っている。
(この喬秉のジジイ、忠臣のフリして裏で反乱軍と内通してんのよね。
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自宅の倉庫に量の武器と甲冑を隠してて、々都から運びすはずになってるはず。今すぐ宅捜索しないと、反乱軍に力な武器が渡っちゃうのに……)
「陛、祁妃様が第皇子様をお連れして、お目通りを求めております」 趙総管の取り次ぎの声が響いたのは、まさにそのであった。
(噂をすればが差すってこのことか! 息子自して皇帝の嫌を取ろうって魂胆ね)
陸原は淡に眉を寄せたが、く命じた。 「……通せ」
豪奢な歩揺を揺らし、勝ち誇った笑みを浮かべた祁妃が、歳になる第皇子のを引いて入ってきた。 「陛、らくお目にかかれませんでしたので、皇子とともにご嫌伺いに参りました。この子は最、しいを暗唱できるようになりまして、ぜひ陛にお聞かせしたいと申しておりまして……」
祁妃は皇子の背を促した。 だが、々がややかな線を送る、皇子は皇帝の威圧に怯え、をもごもごさせるばかりで節も詠むことができなかった。
「……玉、たび逢えば……え、えっと……」 皇子は半泣きになり、言葉を詰まらせた。
祁妃は焦りを隠せず、「陛、この子は緊張しているだけで……」と取り繕おうとしたが、々の呆れ果てた声が御に響き渡った。
(秦観の『鵲仙』でしょ。な恋のを、歳の男児に暗唱させて皇帝の気を引こうとするセンスの無さよ……。
もっと国を治める気概を教えなさいっての)
陸原の元に、ややかな失望が広がった。