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"処刑寸前の冷宮幼女、心の声で国を救う" 第2話

*

宮の最端、吹き溜まりのような所に位置する宮は、真の寒が容赦なく隙となって吹き抜ける荒れ果てた角だった。

「々! 無事だったのね、ああ、よかった……!」 あばらの扉をけるなり、粗末な麻布のをまとった痩せぎすの美女が々を抱きしめた。 実の母、謝氏である。 かつては宮に咲く輪の百と讃えられながら、ろ盾のさと宮廷の謀によって無実の罪を着せられ、この宮へと追いやられた幸の妃であった。

原作説において、彼女の結末はあまりにも残酷だった。 娘である々が玉杯を割って理尽に処刑された報せを聞き、絶望のあまり宮の梁に帯をかけて首を吊り、命を絶ったのだ。

「母、々は丈夫だよ。怪もしてないよ」 々はさく丸まった母の背を、拙いさなで優しく叩いた。 謝氏は涙を拭い、ひび割れた粗末な陶器の碗を差ししてきた。

「お腹が空いたでしょう。さあ、くおべなさい」

器のに盛られていたのは、い粥だった。 だが、々が匙をづけた瞬、を突く饐えた臭いが漂ってきた。粥の表面はわずかに糸を引き、に変している。 宮の厨を司る御膳の宦官たちが、宮の落ちぶれた母娘に回す事など、とうに腐りかけた残飯に過ぎないのだ。

「……母、これ、もう腐ってるよ。

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べちゃだめ」 「えっ……? そ、そんなことないわ。し酸っぱいだけよ。母が悪いの、々にこんな辛いいばかりさせて……」

謝氏はがの無力さを恥じるように肩を震わせ、自らその腐った粥をに運ぼうとした。 々は素くそのを押さえ、碗を取りげた。

(冗談じゃない! こんなのべたら急性腸炎で即コースだよ! この代の医療レベルで毒なんて起こしたら終わりじゃん! ……よし、あたしがなんとかして料を調達してこなきゃ。歳児の特権をフルに使って、宮の厨から何か掠め取ってくる!)

「母、々が美しいもの探してくるね! 待ってて!」 「あっ、々! 勝に歩いては――!」

制止する母の声を背に、々はすばしっこく宮を抜けした。

*

御膳の裏を目指して歩いていた々は、壮麗な朱塗りの回廊のに潜み、をひくひくさせた。 どこからともなく、ばしい脂の焼ける極の匂いが漂ってくる。

(うわ、めちゃくちゃいい匂い……! 丸何もべてないから胃袋が裏返りそう。古代の華王朝の宮廷料理って、腕はガチなんだろうな……)

よだれを拭いながら匂いの元へと忍び寄ると、そこは御膳の搬入ではなく、厳な警備が敷かれた御の裏庭であった。 透かし彫りの窓の向こうから、く威厳に満ちた皇帝の声が響いている。

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「……方の治事は順調にんでいると報告があったはずだ。なぜ今さら増額の請が来る」 窓の隙から覗き込むと、机に向かう陸原のに、戸部の臣が額に汗を浮かべて平伏していた。

その景を見ろしながら、々は垣ので激しく内のツッコミを入れていた。

(順調なわけないでしょ、この無能役どもめ! あと数もしないうちに、方案の堤防が決壊して未曾の害が都を襲うんだよ! 処を失った数万の難民が都に押し寄せて、料から暴に発展して……それが祖国滅のドミノ倒しの第張本なんだからさ! 今の季節になんてるはずがないってを括ってるから遅れになるのよ!)

卓のでを執っていた陸原のが、ぴたりと止まった。 ――また、あの声だ。

皇帝は鋭いを窓のの垣へとらせた。 の葉の隙から、つの丸い瞳が覗いている。あの宮の娘だ。 方の害? 難民の暴? この乾期に害など、代未聞の戯言に過ぎない。戸部の役をがらせ、兵にあの無礼な童女を捕縛させようとをきかけた、そのであった。

「ほ、報告――ッ! 緊急の急報にございます!」

砂埃にまみれた伝令兵が、転がるようにして御に崩れ込んできた。 に滑り込み、血を吐くような叫びをげる。

「方の部にて記録な鉄砲が発! 主堤防が瞬くに決壊いたしました! を追われた難民の群が、現、涛の勢いで帝都へと押し寄せております! すでに付では糧を求める民による暴の兆しが……!」

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