みかん小説
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"ただいま温度管理中です!" 第13話

――私、今限りで領州を辞めるから」

広全体が、静寂に包まれた。

「や、辞める……!? どういうことだ、野殿!?」 「言葉通りのよ。私は独して、自分でしい派を起業するの」

ユイはれやかな顔で、集まった弟子たちを見渡した。

「しい派の名は『園(てんえん)』! 理はつだけ。平等、自由、そして楽しい修仙! そこでは使魔は族であり、具じゃない。弟子は財であって、使い捨ての消耗品じゃないわ! ブラックな功序列との引っ張りいにうんざりしたは、今すぐ私についてきなさい!」 「ふ、巫戯るな! そんな戯言に誰が……」

老が激昂しかけた、そのだった。

「お、俺もきます! 野先輩についていきます!」 「私も! 野先輩が命がけで使魔の術をしているのを見ました! 信じられるのはあのだけだ!」 「俺も連れてってください!」

涛のような歓声が巻き起こった。 層の雑役弟子や内の若弟子たちが、先にと演壇のへ押し寄せる。

『おいおい、並べ並べ! ずつだ! 申し込みたい奴は、あのガリ勉のところで登録しろ!』

琥珀が得げに胸を張り、相馬が苦笑しながら名簿をらせる。

『ご主様……なんと、全弟子の割くが、が園への移籍を希望しています』 「言ったでしょ? 私に惚れすぎるなって。私はただの伝説よ」

真っ青になって腰を抜かす老たちを置きりにし、ユイは弟子たちと体の使魔を引き連れて、堂々と領州のをにしたのだった。

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◇

それから数ヶ。 緑豊かな拠点に構えられた派「園」の執務。

「ご主様、これを見てください」

相馬が青い顔で帳簿を差ししてきた。

「園の徒はすでに百を超えました。さらにご主様が全霊獣へ無償で最の医療と温湿度管理陣を提供しているため……費が限界を突破しています。このペースだと、来には米すら買えなくなり、全員で野垂れにます」 「嘘でしょ!? 琥珀、アンタのへそくりは!?」 『俺様が集めたお宝は、ぜーんぶ霊舎の増築資材に変えちまったよ! 銭も残ってねえ!』

琥珀がを垂らして項垂れる。 ユイはを抱えた。世でも業獣医が最初にぶち当たる壁は、いつだって資繰りだった。

「……落ち着きなさい、私。何か稼ぐ方法は……そうだわ」

ユイの瞳がキラリと輝いた。

「『識』を売るのよ」 『……識を?』 「そうよ! 相馬、アンタは使魔の態理論と育成法、点分析の講義をきなさい。アンタの識量なら百分のカリキュラムが組めるでしょ? そして琥珀、アンタは実践戦闘のブートキャンプをくのよ!」 『そんなのでになるのかよ?』 「なるに決まってるでしょ! 利売がスローガンよ。受講料が払えない弟子には、霊舎の掃除や薬畑の入れで単位を相殺してもらえば、も気に解消するわ!」

現代の識産業とインターンシップ制度の融――ユイの閃きは、修仙界に凄まじい嵐を巻き起こした。

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相馬の論理で分かりやすい講義と、琥珀のスパルタながら確実にくなれる実践訓練は、瞬くに「派の古臭い修法より遥かに実用だ」と評判を呼んだ。 には、派の弟子や散修たちが教えを乞うために蛇の列を作った。

さらにユイは留珠をフル活用した。

「輝羽、相馬と琥珀の講義を全部留珠で録画しなさい。それを複製して、方の派に通信講座として販売するのよ! タイトルは『野掌のゼロから始める霊獣育成術』! これで寝ているにも労所得がチャリンチャリン入ってくるわ!」

事業は成功を収めた。 園の財政難は瞬くに解消され、陸全にその名を轟かせる聖へと急成を遂げたのである。

夕暮れ。 かなが吹き抜ける庭の縁側で、ユイはお茶を啜りながら伸びをした。

「ふぅ……まさか世で果たせなかった起業のが、異世界で叶うとはわなかったわ」

傍らでは、輝羽が申し訳なさそうに俯いていた。

「……ご主様。相馬様も琥珀様もあんなに役にっているのに、僕はお使いや雑用くらいしかできなくて……」 「何を言ってるのよ」

ユイは優しく笑い、のを撫でた。

「アンタが毎美しそうにご飯をべて、楽しそうに笑ってくれる……それだけで、私にとっては分すぎるのよ。

それに、ずっと私の傍にいてくれるんでしょ?」

「……はい! ずっと、お傍にいます……!」

輝羽の顔に、満面の笑みが咲いた。

『おいおい、抜け駆けすんなクソ鳥! ご主様の膝のは俺様の特等席だぞ!』

黄の毛並みを揺らして琥珀がび込んできて、引にユイの膝にをねじ込む。

『相変わらず騒がしい単細胞だな。だが……』

相馬が縁側に腰をろし、静かに湯呑みを傾けながら元を緩めた。

『この平穏も、悪くはない』

の空が、茜から美しい紺のグラデーションへと染まっていく。 かつて理尽に虐げられ、命を落としかけた女の周りには、今やかけがえのない族と、自分たちので切り拓いた温かな楽園が広がっていた。

「さあ、みんな。の講義の準備が終わったら、今夜は特の鍋にするわよ!」 『うおぉぉ! 肉だ肉ぅ!』

賑やかな歓声が、夕暮れの空へとく響き渡っていった。

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