"ただいま温度管理中です!" 第11話
「ご主様ッ!」
輝羽が迷わずを挺して割り込み、激しい衝撃を受けて壁際まで吹きばされる。
「輝羽!」 『よくもご主様を……! これでも喰らいやがれ!』
激昂した琥珀が、腹の空からかつて集めていた力な法具を次々と吐きし、幽螭の顔面に爆発の嵐を浴びせた。 だが、幽螭は怯むどころか、喉の奥を気に赤く発させた。
『ね、羽虫どもめが!』
ゴォッと吐きされたのは、内丹の毒を含んだ黒のだった。 吸い込んだ瞬、周囲の岩肌がドロドロに溶け崩れていく。
『しまっ……! この、霊脈を腐させる……吸い込むな!』
相馬が叫んだが、線で吼えていた琥珀が毒を浴びてよろめいた。
『ぐっ……目が霞む……! くそ、がつに見えやがる……!』 『琥珀!』
巨体が膝をつく。幽螭は勝ち誇った哄笑をげ、爪を振りげた。
『まずはその気な娘から、で肉片にしてやろう!』 「させないわ!」
ユイは歩にると、懐から青くる玉符を掲げた。
「私を喰らうに、これでもよく見なさい!」 『……あ? に際のがらくたか? そんなものが……なっ!?』
玉符から放たれた清廉な霊を見た瞬、幽螭の全が凍りついたように直した。
『そ、その刻印……なぜそれを貴様が持っている!?』 「私たちが何の準備もなしに、のこのこ罠にかかりに来たとでもったの?」
ユイは徹に言い放った。 演武会の夜、相馬の識を借りて、かつて幽螭を封じた能――霄仙尊(うんしょうせんそん)の隠れ処へ密かに連絡を取り、すでに協力を取り付けていたのだ。
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玉符が弾けぶと同に、虚空が裂け、純の袍を纏った潔ながりった。
『――幽螭。千にわたり悔い改めることを願うて命を留めておいたが、悪をね、あまつさえがを害そうとはな』
霄仙尊の凛冽たる声が、秘境の空を圧する。
『き、貴様ぁぁっ! あののクソ爺……!』
半狂乱となった幽螭が暴れ回る。仙尊の霊力によって邪竜のきが縫い留められた、その瞬の隙。
「ご主様、今です!」
相馬が叫んだ。
「の胸郭部、枚目の逆鱗の! 千の古傷が癒えておらず、霊脈の結節点がしています!」 「解!」
ユイはにした剣を構え、を蹴った。 ので、世の記憶が鮮に蘇る。無菌の眩しい照、血に濡れた袋、そして数えきれない命を救ってきた執刀の覚。
(野ユイ、自分がまだ術台のにっているといなさい。番事なのは brute force(腕力)じゃない。――急所を正確に捉える、狂いのない太刀よ!)
迷いはなかった。 を切り裂き、した結節点へ、刃先が寸分の狂いもなく々と突きてられた。
ドシュッ!
『ギャアァァァァァッ――!!』
鳴とともに、幽螭の巨体からどす黒い霊血が噴のように噴きがった。 仙尊の放った封印の陣が空からり注ぎ、断末魔をげる邪竜を完全にへと縫い留め、散させていく。
静寂が戻った。
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霄仙尊は静かにユイを見つめ、微かに目を細めた。
「見事だ。恵と勇気を併せ持ち、己のを挺して使魔を慈しむその根……体の神獣に認められたのも頷ける。娘、見事であったぞ」 「お褒めに預かり恐縮です、仙尊様。ですが……始末は、まだ終わっていません」
ユイは唇の端を吊りげ、たい笑みを浮かべた。
「表で私たちのを首をくして待っている、あの狸親父に……最の引導を渡してやらなくてはなりませんから」
◇
半刻。秘境の入り。
玄鶴掌は、そわそわと落ち着かない様子で暗を見つめていた。 そこへ、鎖を引きずるようない音が響いてくる。
「幽螭様……! 幽螭様でおいでですか!」
掌は膝をつき、揉みをしながら暗へと擦り寄った。
「封印からのご解放、よりお慶び申しげます! あの気な娘と神獣ども、おにいましたでしょうか?」
暗の奥から、くくぐもった声が返る。
『……うむ。極のわいであったぞ』 「おお、それは何よりでございます! こののために、わしも骨を折りました。演武会で奴らを疲弊させ、燃根丹で操った最恩寺を自らので始末してを封じ……ようやく貴方様のもとへ送り込んだのです」
掌の顔は、抑えきれない悦楽に歪んでいた。
「この百、毎欠かさず霊獣を献してまいりました。