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"ただいま温度管理中です!" 第9話

「グレン! 何をもたついているの、殺しなさい!」

最恩寺の罵声が響く。 だが、振りろされかけた炎の爪は、ユイの額のわずか数寸でピタリと止まった。

の頬を、筋の涙が伝い落ちる。

「……すま、ない……。野さん……あなたを、殺したく……ない……」

ボキリ、と凄まじい音が響いた。 蓮は自らの霊核を無理やり逆流させ、術の反をすべて自の肉体で引き受けたのだ。

「ぐはっ……!?」

量の鮮血を噴きし、蓮の躰が崩れ落ちる。

「なっ……自害しただと!? この役たずのゴミ鳥がぁっ!」

激昂した最恩寺が、懐から剣を抜き放ち、無防備なユイへと襲いかかった。

「おさえ……おさえいなければぁぁっ!」 「そこまでだ!」

ドガァッ!!

突如として放たれた凄まじい霊撃が、最恩寺の胸を正確に貫いた。 演武台の最段からびりてきた玄鶴掌の撃だった。

最恩寺は目を見いたまま血を吐き、ピクリともかなくなった。

「最恩寺レイは勝利に焦って禁術にを染め、魔に堕ちた。その、同を公然と殺傷しようとした罪、万に値する。領州の掌として、派の規律を守るため成敗した!」

掌は酷に言い放ち、倒れた最恩寺の遺骸を瞥すら疾のように払いのけた。 封じだ。ユイの背筋にたい汗が流れる。掌は、最初から最恩寺を使い捨ての駒として切り捨てる気だったのだ。

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玄鶴掌はユイに向き直ると、慈父のような笑みを張り付けた。

「野ユイ。激戦を制し、見事であった。――を逃さぬため、今夜ただちに神獣を連れて太古の秘境へ入れ。そこでおに、真の至宝を授けよう」

◇

その夜、ユイの部。

「琥珀、お湯を沸かして! なるべく量に! 相馬、止血と聚霊丹を全部して、末にしてく!」

ユイは袖を捲りげ、血まみれになってに倒れる蓮に取り付いていた。 の呼吸は途絶えかけ、脈拍は触れない。

「霊脈が完全に断裂し、臓腑も損傷……助かる確率は割未満です」

相馬が静に、だが沈痛な面持ちで告げた。

「割でも希望があるなら、絶対に連れ戻す! 世でできたことが、この世界でできないはずがない!」

ユイの瞳に、執の炎が宿る。 持ちの細い縫針を霊気で滅菌し、砕けた胸骨の破片を本ずつ丁寧に取り除いていく。 霊薬の末で傷を清拭し、断裂した血管と筋肉を、狂いのない精密なつきで縫いわせていく。

肉体を切りき、再び繋ぎわせる――修仙界の常識を覆す現代科学の技術に、相馬は言葉を失って見つめていた。

夜を過ぎ、の空がみ始めた頃。 の荒い息が、ようやく規則正しい寝息へと変わった。

「……ん……」

蓮のい睫毛が震え、ゆっくりと瞼がかれた。

「気がついた? 気分はどう?」

目のにあったのは、寝で隈を作りながらも、優しく微笑むユイの顔だった。

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「ぼく……なぜ、きているの……?」 「このが晩眠休で、閻魔の喉元から力づくでおの魂を引っこ抜いてきたんだよ」

琥珀が腕を組んで貞腐れたように言った。

蓮の瞳から、粒の涙が溢れした。は痛む体を引きずり、に両をついてユイに額を擦り付けた。

「野様……命を救っていただき、ありがとうございます……! まれてからずっと、誰も僕に優しくしてくれなかった。具のように使われ、捨てられるゴミでした……僕を、として扱ってくれたのは、あなただけです……! 使魔としての力はいりません、お茶を汲む僕で構いません……どうか、お傍に置いてください……!」

ユイはしゃがみ込み、の華奢な肩を優しく抱きしめた。

「もう誰の具でもないわ。私の族になりなさい。――蓮という名は過に置いていきましょう。これからは『輝羽(カグヤ)』。を払い、空を輝いて羽ばたきなさい」 「輝羽……! はい……! ご主様……!」

たな絆が結ばれたその、相馬が静かにをいた。

「輝羽。おが用させられたあの薬について、当たりはあるか」

輝羽は涙を拭い、表を張らせた。

「……はい。あれは『燃根丹』。掌様が直接、最恩寺様に渡したものです。普通の薬ではありません……秘境の淵に封じられた古の邪獣『幽螭』の内丹から精製されたものです」 「幽螭……!?」

ユイの眉がねがった。

「幽螭は数千に仙尊によって封じられましたが、百に度、霊獣を喰らうことで命を繋いでいます。

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