みかん小説
本棚

"ただいま温度管理中です!" 第8話

「らかに野先輩を潰しにかかっているじゃないか……!」

台のにつユイの隣で、琥珀がを剥き、相馬が徹に目を細めた。

『ご主様、あの狸親父、完全に俺たちを絞り尽くす気だぜ』 『異常な事態には必ず裏があります。誰かが図に仕組んだ罠でしょう』 「ええ、分かっているわ。――でも、受けてつしかないわね。とも、加減しつつ省エネでくわよ!」

試が始された。

第戦、防御特化の玄亀を使役する弟子。 相馬が瞬で点を見抜く。

『甲羅の背甲と腹甲の継ぎ目に霊力の淀みがある。そこを突け』 『応よ!』

琥珀のの撃が継ぎ目を穿ち、巨亀は撃でひっくり返って戦闘能。所、わずか分。

第戦、俊敏な狼。 『着に肢の関節に瞬の直がじる』 『いただいたぜ!』

分秒。

連戦、連戦、連戦――。 挑戦者たちが次々と敗れり、台にはユイと体の神獣だけがち続けていた。 だが、流の特級神獣といえど、絶えない霊力の使に琥珀の息ががり始め、ユイの額にも脂汗が滲んでいた。

「第戦、防側、野ユイの勝利!」

審判の声が響く。ユイは肩で息をしながらを挙げた。

「審判……! 連戦を終えて霊力も限界よ。規定の休憩を求するわ!」 「申し訳ありませんが、特例の会規則により休憩は認められません。

広告

挑戦者はいつでもがれます」 『ふざけんな! 目ぇついてんのかコラ! ご主様はもう疲れてんだよ!』

琥珀が吼え猛ったその、たい嘲笑が響き渡った。

「あらあら、もう音をげるの、い輩ちゃん?」

群衆をかき分けて現れたのは、禁を解かれた最恩寺レイ。 そしてその隣には――異様な妖気を放ち、燃え盛るような赤髪を持つ痩のが従っていた。

「私の使魔――『蓮(グレン)』よ」

弟子たちが騒然となる。

「霊鳥が……化している!?」 「級霊鳥がたった数で化するなんて、あり得ないぞ……!」

最恩寺は歪んだ笑みを浮かべ、蓮の背を無慈に蹴りばした。

「きなさい、蓮! あの気な女の首をへし折って、私のに差ししなさい!」 「……はい、ご主様」

――蓮は痛な瞳で頷き、両を鋭い炎の刃へと変えた。

試が始まった。 蓮のきは常軌を逸していた。骨が軋む音を響かせながら、命を削るような凄まじい速度で琥珀へと肉する。

ガギィィィンッ!

琥珀の爪と蓮の刃が激突する。 だが、相馬の鋭いが、蓮の胸元の異変を捉えた。

『ご主様、あの獣は正常な化ではない! 体内で邪悪な劇薬が燃え盛っており、自らの命力を燃料にして無理やり潜能力を引きしている……!』 「寿命の借り……!? 最恩寺、あなた正気なの!? あれはあなたの霊獣でしょう!」

広告

ユイが叫ぶが、最恩寺は狂気じみた笑いをげるだけだった。

「勝ちさえすれば、獣の命など幾つ散ろうとったことじゃないわ! 蓮、これを使え!」

最恩寺が印を結ぶと、蓮の胸の契約紋が赤黒く発し、のから血を吐くような絶叫ががった。

「アァァァッ……! 体が……い……痛い……!」

蓮の肉体が醜く膨張し、異形の炎の怪鳥へと変異していく。暴した霊気が演武台の結界を軋ませ、周囲の弟子たちが恐怖に逃げ惑う。

『クソッ、あの女、本当に狂ってやがる!』

琥珀が巨化し、呑の術で炎を吸い込もうとするが、連戦の疲労から結界の維持が追いつかない。 蓮の燃え盛る鉤爪が、防のれたユイの喉元へと迫る――!

「ご主様ッ!」

琥珀と相馬が叫んだ。 だが、ユイは逃げなかった。恐怖にを竦ませることなく、両を広げてちはだかった。 その瞳にあったのは、敵への憎しみではなく、苦痛に狂う命への、い痛だった。

「……世は獣医ので命を守った。今世は主の責務として、私の族を守る。――これ以、この子を具にして傷つけるんじゃないわよ!」

ユイの全から、澄み切った霊気が爆発に吹き荒れた。 その凛とした声と、自らのを挺して使魔を守ろうとする姿が、暴する蓮の濁った瞳に焼き付いた。

(……あぁ……)

蓮の脳裏に、かつて最恩寺に踏み躪られ、飢えと痛みに怯えていた記憶が蘇る。

(こんなに……命がけで守られる覚って、どんなものなんだろう……) (あのが……僕のご主様だったら……)

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: