"ただいま温度管理中です!" 第4話
「その必はないわ」
最恩寺は酷に嗤い、自らの傍らに置かれた豪奢な錦の籠に線を落とした。 そこには、の美しい輝きを放つ霊卵が鎮座している。殻の表面にはすでに無数の亀裂がり、圧倒な瑞気がち込めていた。
「今夜にも殻を破るこの卵の紋様と気配……違いなく、古文に記された級神獣『彩神鳥(しちさいしんちょう)』よ。――野を始末するのに、私自がをす必などないわ。掌様や同全員にいらせてやるのよ。野ユイが単なる無能であるだけでなく、領州に災いをもたらす疫病神だということをね」
最恩寺の策略は、翌朝すぐに実された。
央広は、彩神鳥の孵化を祝う弟子たちの気に包まれていた。 最恩寺の肩には、虹の羽毛を煌めかせた見事な霊鳥が留まっている。
「素らしい……! さすがは最恩寺だ。級神獣を従えるとは、まさに命の女。将来の領州を背負ってつ器だな」
玉座に座る玄鶴掌が、満そうに髭を撫でて目を細めた。
「に余る栄にじます、掌様。これも偏に、掌様のご指導の賜物ですわ」
最恩寺が淑やかにをげると、周囲の弟子たちから惜しみない称賛の声ががった。 その華やかな輪の端を、裏で薬を採取してきたユイが通りかかろうとした。
「あら、野さん? ずいぶん慌てて、そちらの霊卵はもう孵ったのかしら?」
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最恩寺のよく通る声が、広の空気を変させた。笑を含んだ線が、斉にユイへと突き刺さる。
「まだよ。事に育てているところだから」 「まあ……これだけをかけても駄目なのね。世のには、どうしても才能の差というものがあるのよ。ゴミはいくら資源を注いでもゴミ。掌様も、最初から霊卵をつも与えるべきではなかったわ」
弟子たちからも同調する嘲笑が漏れ聞こえた。 玄鶴掌もまた、失望を隠そうとせず々しく息を吐きした。
「弟子たちの言葉はに痛いが、理あるな。野よ、おへの期待はわしの執着がすぎただけのようだ。もはやを抱くのはやめよう」
掌がそう言い放った、その刹だった。
「ギィェェェッ――!!」
最恩寺の肩にいた彩神鳥が、突如として甲い鳴をげ、もがき苦しみながら面に転がり落ちた。 美しいの羽が瞬くに黒ずみ、嘴からどす黒い泡が溢れす。
「神鳥!? どうしたの、しっかりなさい!」 「掌様、お助けください! 神鳥が……毒に侵されています!」
広は騒然となった。玄鶴掌が素く駆け寄り、霊気を探る。
「何だと……!? 霊脈の根幹を腐させる猛毒だ! 最恩寺、今この鳥の餌やに異常はなかったのか!?」 「事もも、すべて私が細の注を払って用いたしました! ……ただ、今朝がた孵化した神鳥があまりに元気で、庭のへびしてしまい……その、確か野さんのまいの方向へ向かってんでいったのです……!」
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最恩寺は顔を覆い、震える声で涙を零した。
「野さんを疑いたくはありませんでした……けれど、皆さんもごのはずです。彼女が以からどれほど自分の霊卵を虐待し、の才能を妬んでいたかを! 私の神鳥を妬む気持ちは分かります、でも、罪なきこの子に毒を盛るなんて、あまりに残酷ですわ……!」
広の空気が、気に殺気った。
「そうだ! 野ユイの仕業に決まっている!」 「自分が孵せないからって、の神獣を殺そうとするなんて!」 「掌様、厳罰を! こんな悪辣な女、派に置いてはおけません!」
玄鶴掌の顔に、徹な気がった。
「者ども、直ちに野の部を捜索せよ! 怪しいものは欠片つ見逃すな!」
駆けした弟子たちが戻るのに、したはかからなかった。には、のを放つ薬瓶が握られていた。
「掌様! 野の枕元からこれを発見しました! 劇毒薬として使用が禁じられている『噬霊散(ぜいれいさん)』です!」
ざわり、と広がきくどよめいた。
「噬霊散……! 霊獣の根幹を破壊する最悪の禁薬だぞ!」 「かぬ証拠だ! 今すぐ処分しろ!」
最恩寺はユイを睨みつけ、勝ち誇った笑みを瞳の奥に滲ませた。
「野、証拠は揃ったわ。言い残すことはある? 私の神鳥はおに何のみもなかったのに……あなたのはどこまで真っ黒なの!」