"「生きている」と気付いた納棺師、黒幕の婚約者を地獄へ送る葬儀" 第22話
敷の周辺には各テレビ局の継がずらりと並んでいる。
無数の報陣が、カメラを構えて待していた。
トートホールディングスという巨企業の次期社になるはずだった令嬢の突然のは、世の関をく引きつけていた。
駐には、政財界の鎮たちが乗る黒塗りの級が次々と到着する。
喪姿の参列者たちが、苦しい面持ちでホールへと吸い込まれていく。
私は納棺師としての漆黒のスーツをにまとった。
祭壇の脇に設けられた関係者用の控えスペースに、静かにっていた。
線の先には、入りで参列者を迎える郷田さんの姿がある。
彼はしみに打ちひしがれたような虚ろな表を作っている。
々とをげて、挨拶を繰り返していた。
しかしその目は、折テレビカメラのレンズの位置を確に捉えていた。
最も自分が劇に映る角度を計算しているのが見て取れた。
「お辛いでしょうが、どうかお気を確かに。」
由奈さんの父親の親友であり、会社の役でもある初老の男性が、郷田さんの肩を優しく叩いた。
「ありがとうございます。」
郷田さんは、見事な嘘の涙をハンカチで拭った。
「私がしっかりしなければ、由奈も、そしてこの会社も報われませんから。」
彼は、役員の信頼を完全に勝ち取っている様子を見せつけていた。
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彼の社会響力は、この葬儀のにおいて偽りの絶頂に達しようとしている。
参列者の波のに、崎弁護士の姿もあった。
彼は私と瞬だけ線を交わし、かすかに頷いた。
その周囲には、自然なほど体格が良く、周囲を鋭く警戒している喪姿の男たちが数名紛れ込んでいる。
崎先が配した、私警官たちに違いない。
全ては、私たちの描いた法網の通りにしていた。
定刻となり、荘厳な読経の響きと共に葬儀が始まった。
ホールを埋め尽くした千い参列者たちは、巨なの祭壇とその央に置されたの棺に向かって、静かにを垂れている。
読経が終わり会が静寂に包まれると、司会者が弔辞の朗読を告げた。
喪主であり、社となる郷田さんが、ゆっくりとした取りでマイクのにみる。
彼が顔をげた瞬、待っていたかのように数のカメラのフラッシュが斉に焚かれた。
「本はお忙しい、き婚約者・由奈のためにご参列いただき、より謝申しげます。」
マイクを通して響く郷田さんの声は適度に震え、完璧なを帯びていた。
「彼女はのように美しく、そして誰よりも優しい女性でした。」
彼は、嘘のを語った。
「私たちは来結婚式を挙げ、共にを取りって幸せな庭を築くはずでした。
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」
彼は言葉を詰まらせた。
「それなのに、こんな惨な事故が起きるなんて、私は未だに現実を受け入れることができません。」
彼はハンカチで何度も目元を抑えた。
会のあちこちから、参列者たちのすすり泣く声が漏れ聞こえてくる。
世の誰もが、彼の痛な演技を真実だと信じていた。
い同を寄せていた。
しかし私はごく底の差しで、その滑稽な芝居をただ静かに見つめていた。
「由奈は、いつも私に語っていました。」
郷田さんは再び顔をげた。
今度はい決を込めた差しで、参列者たちを見渡した。
「父が残したこの会社と、社員の皆さんの幸せを守りたい、と。」
彼は、会社を乗っ取るための義名分をにした。
「私は彼女の命を奪った運命を呪うだけでは終われません。」
彼は、声を張りげた。
「彼女のしたトートホールディングスというきなを、決して沈めるわけにはいかないのです。」
彼は、堂々と宣言した。
「だからこそ私は彼女の遺志を継ぎ、この会社の社として全を懸けて、社員と社会のために尽くすことを、ここに誓います。」
ホール全体が、瞬の静寂の、万の拍と同の声に包まれた。
郷田さんは再びくをげながら、その元に隠しきれない歓の笑みを浮かべていた。
彼は今、世に向けて取り返しのつかない巨な嘘をついた。
自らの退を完全に断ち切ったのだ。
彼が社代という権力の頂点にち、世の称賛を完璧に集めたこの瞬。