"「生きている」と気付いた納棺師、黒幕の婚約者を地獄へ送る葬儀" 第9話
夜がけるまでの、私は特別の分析器のに座り続けていた。
由奈さんの血液の解析を続けていたのだ。
最の質量分析計のモニターに、抽された血清の成分が複雑な波形となって次々と表示されていく。
私はかつて神医と呼ばれていた頃の記憶と、目ののデータを照らしわせた。
キーボードを静かに叩く。
やがて、画面の央に特定の化学構造式が浮かびがった。
やはり、極めて特殊な筋弛緩毒の成分である。
アジアの裏社会で暗殺に用いられる、自然界にはしない成化物だ。
枢神経を麻痺させ、能を極限までさせることで、対象を完全な仮状態へと陥れる恐ろしい毒物だった。
体内での代謝がく、数もすれば完全に分解されて自然として処理されてしまう。
そのため、郷田さんは異常なほど葬を急いでいたのだ。
もし私があの霊で遺体の微細な変化に気づかず、ただの葬儀として業務をこなしていたら。
彼女は今頃、温の炎ので焼き殺されていたことだろう。
私はプリンターをかした。
解析結果のデータを、複数枚のに印刷した。
この成分データが示す波形は、法医学の専関が数かけて導きすものと寸分違わぬ精度を持っている。
これで、ただの推測ではない。
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科学な証拠として、由奈さんが何者かによって毒を盛られたという事実が確定したことになる。
このデータと、彼女の首筋に残された自然な注射痕の写真を照らしわせる。
専の目には、確な殺未遂事件として映るはずだ。
私は印刷したデータをのファイルにまとめた。
そして、リビングのソファで休んでいた由奈さんの元へ向かった。
「由奈さん、毒物の特定が完しました。」
私はテーブルのにファイルを置いた。
ごく音の静かな声で報告した。
由奈さんは体を起こした。
ファイルに挟まれた波形や数値のデータを、真剣な差しで見つめた。
「あなたがまされたのは、裏社会で使われる特殊な筋弛緩毒です。」
私は、データを示しながら説した。
「このデータが、殺未遂のかぬ証拠になります。」
由奈さんは、堵の表を浮かべた。
「鈴鹿さん、ありがとうございます。」
彼女の顔に、わずかな希望のが差した。
「これで警察にけば、あの男を捕まえることができますね。」
しかし、私はゆっくりと首を横に振った。
「いいえ。まだこれだけでは分です。」
由奈さんは、驚いた顔をした。
「どうしてですか?」
私は、静に理由を説した。
「相は、あなたをに至らしめるために病院の医師までで買収しているです。」
私は、警察組織の現実を語った。
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「私が単独で警察の窓にこのデータを持ち込んでも、郷田さん側の息がかかったに握り潰される危険性があります。」
私は、彼女の目を見た。
「警察も枚岩ではありません。」
私は、最悪の能性を指摘した。
「巨企業の役員である彼が裏でを回せば、採血の過程に備があったなどと難癖をつけられます。」
私は、言葉を区切った。
「証拠能力を否定される能性すらあるのです。」
正義だけでは、権力とで武装した悪党には勝てないのだ。
由奈さんは息を呑み、に満ちた瞳で私を見つめた。
「では、どうすれば。」
私は、次のを提案した。
「この科学証拠を正しく扱い、警察の層部を確実にかすための力な盾が必です。」
私は、由奈さんに尋ねた。
「郷田さんの息がかかっておらず、あなたの方であり、かつ法な権力を持つ物はいませんか?」
私の問いかけに、由奈さんはしばらく考え込んだ。
やがて、彼女の表がハッとるくなった。
「崎先。」
彼女は、希望を見した声で言った。
「父の代からトートホールディングスの顧問を務めている、崎弁護士です。」
由奈さんは、崎弁護士との関係を語った。
「先は昔から私を娘のようにがってくれて、郷田の専横にも批判なを取っていました。」
私は、確認した。
「その方は、信頼できるのですね。
」
由奈さんは、力く頷いた。
「はい。違いありません。もし崎先に真実を話せれば、必ず力になってくれるはずです。」
私は静かに頷いた。