"「生きている」と気付いた納棺師、黒幕の婚約者を地獄へ送る葬儀" 第3話
怯えた瞳で、ゆっくりと語り始めた。
「今の午、婚約者である郷田さんとドライブにかけたのことです。」
彼女は、記憶を辿るように線をさまよわせた。
「の途でを止め、彼が持参した筒から、温かいハーブティーを注いでくれたそうです。」
由奈さんの顔が、苦痛に歪んだ。
「いつもなら砂糖を入れないなのに、今は妙に甘いりがしました。」
彼女は、さく息を吸い込んだ。
「それをにした直、私の体には急速な麻痺が広がりました。」
由奈さんの声が、再び震え始めた。
「声がなくなり、指先から覚が消え、そのままシートにく沈み込んでしまったのです。」
彼女は、恐怖をいしたように目を閉じた。
「識ははっきりしていたのに、目をけることすらできませんでした。」
由奈さんは、目をけて私を見つめた。
「郷田は私の様子を確認すると、シートベルトをし、をわざとガードレールにぶつけて事故を装ったんです。」
由奈さんの肩が、きく震えた。
「衝撃はあったものの、私自には目った傷はありませんでした。」
彼女は、両で顔を覆った。
「その、救急でこの青葉病院に運び込まれましたが、私を待っていたのはさらなる絶望でした。」
由奈さんは、顔をげて涙声で続けた。
「担当した黒川先という医師は、私の顔をろくに見もせずに、すぐに宣告をしたんです。
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」
彼女は、自分の胸にを当てた。
「私の臓は、まだかすかにいていたのに。」
由奈さんは、再び両で顔を覆い、しゃくりげた。
「その、郷田が黒川先に言ったんです。」
彼女は、震える声で郷田さんの言葉を再現した。
「ご苦労だったな。約束のは隠し座に振り込んでおく。く葬儀を呼んで、こいつを葬炉へ送れ、と。」
由奈さんの目から、とめどなく涙がこぼれ落ちた。
「暗ので自分が体として処理され、きたまま焼かれるのを待つしかなかった恐怖。」
彼女は、毛布をさらにく握りしめた。
「最も信頼していた婚約者に裏切られ、命も財産も全て奪われようとしている絶望。」
由奈さんの頬を、悔しさと恐怖の涙が伝い落ちた。
「私はただの邪魔者だったんです。」
彼女は、力なく首を振った。
「彼が欲しかったのは、私の父が残したトートホールディングスという会社と、財産だけでした。」
由奈さんは、虚ろな目で宙を見つめた。
「私のことなんて、これっぽっちもしていなかったのです。」
私は静かに頷いた。
由奈さんの言葉を、ので理した。
郷田さんはこの病院の黒川医師を買収し、初めから完全犯罪を計画していたのだ。
私が裏社会からを引き、ただの納棺師として静かにきようと決めたのには理由があった。
の欲望が絡む醜い争いかられたかったからである。
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者には敬を払い、者の問題には切関与しない。
それが、過を捨てた私自の掟だった。
しかし、命の尊厳を踏みにじり、きているを故に焼こうとする悪魔の所業をにしている。
私はもはや、傍観者でいることはできない。
このまま彼女を見捨てれば、郷田さんのによって今度こそ本当ににされてしまうだろう。
彼らは、の皮を被った寄虫だ。
私のので、かつて封印したはずの徹な志が完全に覚した。
私は、由奈さんの目を見つめた。
「由奈さん、私は表向きはただの納棺師ですが、しばかり特別な技術を持っています。」
私は、静かな声で続けた。
「先ほど、3本の針であなたの命を救ったように。」
由奈さんは涙を拭い、議そうな顔で私を見げた。
「鈴鹿さん、あなたは体何者なんですか?」
私は、表を変えずに答えた。
「今はただの葬儀です。ですが、命を儲けの具にする寄虫を駆除する方法は熟しています。」
私は、自分の過をしだけかした。
「私はかつて、との境界を操る技術を代々受け継いできた族にまれました。」
私は、極底の線で由奈さんを見つめた。
「その識を使えば、彼らの嘘を暴くことは容易です。」
私は、静かに提案した。
「もしあなたが望むなら、彼に極の葬儀をプレゼントしてあげましょう。
」
由奈さんは息を呑み、私の言葉のを探るように見つめ返してきた。