"「生きている」と気付いた納棺師、黒幕の婚約者を地獄へ送る葬儀" 第2話
の皮を被った悪魔とは、まさに彼のことだ。
自分の利益のためだけに、を誓ったはずの相を獄の底へと突き落とす。
その傲さに、私は吐き気すら覚えた。
もし私が今、廊にて病院の医師や護師を呼べばどうなるだろうか。
この病院には、郷田さんに買収され虚偽の診断をした悪徳医師がいるはずだ。
彼らが私の言葉を信じるふりをして由奈さんを引き取るだろう。
そして、今度こそ完全に息の根を止めるのはを見るよりらかだった。
ただの納棺師の言葉など、権力とで結託した悪党たちのでは何の力も持たない。
彼女の命を守るためには、私がここで密かに蘇させるしかないのだ。
私はく呼吸をした。
そして、極底の静を取り戻した。
者には敬を払い、者には関与しないと誓ってきてきた。
しかし、命を儲けの具とし、きているを焼こうとする邪悪な企みを見過ごすわけにはいかない。
私のので、何もに封印したはずの神医としてのスイッチが静かに起した。
私は、用の鞄の底にを伸ばした。
隠し持っていた、さな桐の箱を取りす。
蓋をけると、には純で作られた3本の極細の針が並んでいた。
それは、たいを放っていた。
族に代々伝わる、返魂の針と呼ばれる秘伝の具である。
広告
毒の成分をし、止しかけている神経と経絡を制に再起させるためのものだ。
しでも打つ所やさを違えば、その瞬に命を奪ってしまう危険な技術でもあった。
しかし、私のには切の迷いも震えもなかった。
私は、由奈さんの顔を見ろした。
聞こえているはずの彼女の識に向けて、静かに語りかけた。
「丈夫です。すぐに楽になりますよ。」
私は、彼女の肌にそっと触れた。
「私があなたを、こちらへ引き戻します。」
私は1本目の針をに取った。
そして、首筋にある急所へとまっすぐに打ち込んだ。
皮膚を貫くわずかな抵抗とともに、針の先端が正確に神経の結節点を捉える。
続けて、胸のにある経絡に2本目を打ち込んだ。
最に、みぞおちのわずかにへと3本目をて続けにく差し込んだ。
静寂に包まれた霊ので、計の秒針の音だけが響いていた。
私はただ静かに、彼女の命力が再び燃えがる瞬を待った。
1秒、2秒、3秒。
たかった彼女の指先が、かすかにピクンとねた。
次の瞬、由奈さんの体が、まるで流を流されたかのようにきく反り返った。
「ああっ!」
彼女のから、空気を求めてかすれた声が漏れた。
肺に烈な酸素が流れ込むと同に、むせ返るような激しい咳が連続して吹きした。
「ゲホッ、ゴホッ、ああっ!」
広告
閉ざされていた瞳が見かれた。
しかし、蛍灯の眩しさに耐えきれず、すぐにきつく閉じられた。
彼女は、絶望の淵から引きずりげられた反で、激しいパニックに陥っていた。
「殺される!焼かないで!助けて!」
彼女は首をに振った。
をバタバタとかして、暴れようとした。
私は、極底の静かな作で、彼女の肩をしっかりと抱き止めた。
「落ち着いてください。あなたはきています。ここは全な霊です。」
私の静かでい声が、混乱する彼女のに届いたようだった。
暴れていた由奈さんのきが、しずつまっていった。
荒い息遣いだけが、部のに響き渡る。
彼女は恐る恐る目をけた。
そして、私をまっすぐに見つめた。
その瞳からは、ポロポロと粒の涙が止めどなく溢れしていた。
たい霊のベッドので、由奈さんはガタガタと肩を震わせていた。
彼女は、声をげて泣き続けていた。
私は、そばにあった毛布を彼女の肩にかけた。
無理に言葉をせかさず、静かに待った。
数分が経ち、ようやく彼女の呼吸が落ち着きを取り戻し始めた。
由奈さんは、震える声で私に尋ねた。
「ここは、病院の霊ですね。私、本当に助かったんですね。」
私は静かに頷いた。
「ええ、あなたはもう全です。ですが、今のために状況を正確に把握する必があります。
」
私はごく音の落ち着いた声で尋ねた。
「何があったのかを、教えていただけますか。」
由奈さんは、毛布をく握りしめた。