"他人の家で父親ごっこをする夫" 第4話
【04】 「には、部を引き払うんです」
会社に「庭の急用」とだけ連絡を入れ、午の半休を取得した。
駅ビルのデパにち寄り、持ちのする個包装の焼き菓子を箱買った。
ぶらで乗り込んでに鳴り散らすような真似だけは、どうしてもしたくなかった。
世体という防壁をまとい、あくまで「良識ある妻」の仮面を被らなければ、あの部の敷居を跨ぐに自分のが砕けてしまいそうだったからだ。
暮里から千代田線に乗り換え、町駅でりる。
に入ると、昭の面を残す造モルタルの宅や町が密集する、特の湿り気を帯びた町の空気が漂っていた。
雅が代半の数を過ごした。
当の彼は数がなく、器用で、誰かにく主張することが苦な青だった。
「私がいなければ、このは活もちかないのではないか」
そんないがった庇護欲が、結婚を決めた理由のつだったことをいす。
だが、現実はどうだったか。
指定された所につアパートは、壁の塗装が所々剥がれ落ちた階建ての古い建物だった。
階の角部。
郵便受けの表札には、くなった油性マジックで『佐伯』とかれている。
玄関のにつと、いアルミサッシのドアの向こうから、賑やかな物音が漏れ聞こえていた。
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ガムテープを段ボールに張り付ける、けたたましいバリバリという音。
そして、女の弾んだ声。
「雅おじちゃん、この本も野に持ってっていいの?」
「それはいから、番のさい箱に入れような。おじちゃんがで運ぶから、遥(はるか)は無理して持たなくていいぞ」
聞き違えようもない、夫の声だった。
く、落ち着いていて、どこまでも優しい声。
私ので、そんな声をしたのはいつが最だっただろうか。
「球、変えてくれた?」と聞けば、「今度やる」とだけ返し、結局私が脚をして交換した。
母が入院したとき、「仕事、無理して休むなよ」と気遣うふりをして、度も病院へを運ばなかった。
私が全部、自分でできるから。
私が音を吐かないから。
そうやって私がで活の輪を回し続けている、彼はこの所で、誰かの「頼れるおじちゃん」をやっていたのだ。
指先が微かに震えるのを、菓子の袋を握り直すことで押し殺した。
あと。
になれば、この族は野へり、雅は何わぬ顔で「張から戻ったよ」と私たちのマンションへ帰ってくるつもりだったのだ。
私が何も気づかなければ、このの活は、美しいいとして雅の胸のにだけ永に仕い込まれるはずだった。
そんなことは、絶対にさせない。
私はきく息を吸い込み、たいインターホンのボタンに指を伸ばした。
だが、指がプラスチックのボタンに触れる直。
ガタリと内側から鍵のく音がして、ドアが勢いよく側へいた。