"父親欄の黒い斜線" 第15話
【15】 3ぶりのが、渡された育児ノート
曜の午。
私は幹線をり、京駅からそので拓也のマンションへと向かった。
関での研修、私のスマートフォンには度も拓也からのSOSは届かなかった。
送られてきたのは、毎晩送られてくる数枚の写真と、簡潔な業務連絡のようなメッセージだけだった。
『今夜のミルク、百完』
『半、就寝。なし』
トラブルがなかったはずはない。
泊、で乳児を抱えながら、あの忙な営業の仕事をこなすことの過酷さを、私自が番よくっている。
エレベーターが目の階に到着し、い取りで廊をむ。
玄関のドアのにち、鍵を取りそうとしてが止まった。
私はもう、こののではない。
息をえ、インターホンを押した。
ピンポン。
数秒、内側から慌ただしい音がづいてきた。
ガチャリ、と鍵がき、ドアが細くく。
「……美咲」
現れた拓也の姿を見て、私は言葉を失った。
目のには赤黒い隈が張り付き、頬はこけていた。
ワイシャツの袖は雑にまくられ、襟元にはいつ付けたのか分からない乳のシミがついている。
だが、その表には、あの『晩徹夜しただけ』ののような、恩着せがましい傲さは微もなかった。
「おかえり。……がってくれ」
を踏み入れたリビングは、お世辞にも綺麗とは言えなかった。
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洗濯ラックには、干し方の歪んだベビーが乱雑に掛けられている。
キッチンのシンクには、洗ったばかりの哺乳瓶が伏せられ、ゴミ箱の周りにはオムツの消臭袋が積まれていた。
決して完璧ではない。
けれど、そこには『がで、必に子どもをかし続けた活の匂い』が充満していた。
カーペットのでは、陽菜がお気に入りのおもちゃを握りしめ、嫌よくをバタつかせていた。
肌着は清潔で、オムツのギャザーもしっかりと側にっている。
「陽菜……」
私がしゃがみ込むと、陽菜は私の顔をじっと見つめ、ふにゃりと笑った。
抱きげると、いつものミルクの甘い匂いと、微かに拓也の使っている柔剤の匂いが混ざりって腔をくすぐった。
「怪も、もさなかった。……約束は守ったぞ」
拓也が掠れた声で言った。
そして、ダイニングテーブルのから冊の学ノートをに取り、私に差しした。
表には、以私が渡したのと同じように、『陽菜の記録』とかれていた。
ページをめくると、拓也の角ばった乱暴な跡で、分刻みの記録がびっしりとき込まれていた。
『曜 06:30 起、検温36.6度』
『07:10 ミルク140ml(し吐き戻しあり、着替え)』
『08:15 保育園登園、連絡帳記入済み』
『18:08 お迎え完。嫌良好』
『19:00 乳(参と豆腐ペースト、半分残す)』
『20:15 入浴、湯温38度、背の湿疹にプロペト塗布』
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『21:00 就寝。夜覚1回、トントンで再入眠』
最のページには、赤ペンでこう追記されていた。
『来週曜の児科、定期健診の予約完。午。自分が半休取得予定』
私はノートを見つめたまま、指先を震わせた。
かつては、私が拓也に「これを見てやって」と懇願するように渡していた報だった。
それが今、完全に逆転していた。
彼は、指示を待つ『伝い員』ではなく、自ら次のリスクを予測してく『当事者』になっていたのだ。
「拓也……プレゼンは、どうだったの?」
私の問いに、拓也は微かに苦笑いを浮かべた。
「成功したよ。……でも、そのの会は断った。保育園の迎えににわなくなるから」
「……え?」
「昇の推薦は、輩に譲ることになった。部にはこっぴどくられたよ。『もうおにきな案件は任せられない』ってさ」
拓也は淡々と言った。
自するでもなく、み言を言うでもなく、ただ自分が選んだ結果の代償として。
「でも、って迎えにって、陽菜の顔を見た……これで良かったんだって、初めてからえたんだ」