みかん小説
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"嫌なら出ていけと言った夫へ" 第4話

【04】「私を追いした、相談なんてなかったわ」

「理恵!!」

受話器の向こうから、鼓膜を破るような修の号が響いた。

の部のリビング。

スピーカーフォンにしたスマートフォンをテーブルの真んに置き、私は静かにめたお茶をに含んだ。

隣でが息を呑み、拳を握りしめている。

「今すぐあの板をさせろ! お、自分が何をしでかしたか分かっているのか!?」

「おはよう、修さん」

私の声は、自分でも驚くほど平坦だった。

「所に恥を晒しやがって! 朝から産が庭にがり込んで写真を撮りまくってるんだぞ! 今すぐ話して取り消せ! 族のを勝に売るなど、常識れにも程がある!」

「族の?」

私は淡々と聞き返した。

「昨夜、あなたは『ここは俺のだ』と言ったわ」

「それは――!」

「娘を泊めるな、みが悪いならおがていけ、と。そう言ったのはあなたよ」

修の息が詰まる音が、スピーカー越しに聞こえた。

だが、染み付いた傲さは、そう簡単に引っ込みはしない。

「売り言葉に買い言葉だろうが! 連れ添った夫婦が、そんなくだらない論でを売り払うやつがあるか! 相談もなしに何様のつもりだ!」

「相談?」

私はわず、さく息を漏らした。

笑ですらない。ただの確認だった。

「あなたが昨夜、私をこのから追いす決定をした、私に相談なんてあったかしら?」

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「ぐっ……」

「具の配置を変えるも、私の友を招くも、を私の部にしたいと言ったも、あなたはずっと『俺のだから俺が決める』と言ってきた。度だって、私と相談して決めたことなんてなかったはずよ」

話の向こうで、ガチャリと音がして、直の声が割り込んできた。

父親から無理やり端末を奪い取ったらしい。

「……母さん、俺だよ。直だ」

「直。朝くから騒がせてごめんなさいね」

「母さん、頼むから度落ち着いてくれ。父さんの言い方が酷かったのは俺も分かってる。でも、売却なんて極端すぎるよ。父さんが、必でローンを返してきたのは事実だろ? それを名義が母さんだからって、で全部処分するのはフェアじゃないよ」

息子の声には、現実な焦りと苛ちが混ざっていた。

直の言うことも、あるでは正論だった。

修が働き、ローンを払い続けたことは嘘ではない。

「そうね、直。お父さんがローンを払ってくれた分は、ちゃんと分かっているわ」

私ははっきりと告げた。

「だから、もしこのが売れたら、法律に従って財産分与をい、お父さんが支払った分に相当するおは法に正当な形で清算するつもりよ。円もネコババする気はないわ」

「そういうの問題じゃなくて――!」

「の問題じゃないなら、何の問題なの?」

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私の問いに、直が言葉を詰まらせた。

「直。私はね、おを取りげたいわけじゃないの。ただ――誰をこのに迎え、誰を追いすかを、あのの権力で決める代を終わらせたいだけよ」

話の奥から、奈央の泣き叫ぶ声が微かに聞こえてきた。

『お母さん! ごめんなさい! 私、もう実になんてかないから! 度と泊まりたいなんて言わないから、お願いだから板をして!』

胸の奥が、ちくりと痛んだ。

だが、ここでに流されれば、すべてが元の歪んだ常に戻るだけだ。

「奈央、聞きなさい」

私は声をしくした。

「これは、あなたの問題じゃないの。あなたが泊まりに来ようとしなくても、来には別の理由で、同じことが起きていたわ。私の子の置き方つ、庭のの入れつで、お父さんは『俺のからていけ』と言ったはずよ」

「でも……!」

「私の決は変わらないわ」

私は計を見た。午750分。

「修さん、聞いてるわね」

話の向こうの気配が張る。修が再びを澄ませているのが分かった。

「産には、――来週の曜の午に、最初のの購入希望者をご案内するようはずをえてもらったわ。企業の社宅を探している法と、学区内で戸建てを探しているご夫婦の組よ」

「な……だと!?」

修の鳴のような声が響く。

「内覧がわれ、買い付け証がれば、正式な売買契約へむわ。

期限は。それまでに、あなたたちがこのを、そしてこれからの活をどうしたいのか、自分のでよく考えなさい」

「理恵! おい、待て! 理恵――!」

私は通話終ボタンをタップした。

乱暴に途切れた子音が、静かなリビングに響く。

隣に座っていたが、ゆっくりと息を吐きしながら私を見た。

「お母さん……本当に、売る気なの? あの、私たちの育っただよ」

娘の問いかけに、私はすぐには答えられなかった。

窓のを見げると、初の青空がどこまでもく広がっている。

あそこには、子どもたちの成が詰まっている。

くなった私の両親が、築祝いに贈ってくれたきな無垢材のダイニングテーブルもある。

本当に、売ってしまっていいのだろうか。

修の傲なをかすためだけに、私のまで消しってしまっていいのだろうか。

ののスマートフォンが、再び激しく震え始めた。

今度は直からだった。

私は画面を伏せ、く息を吸い込んだ。

のカウントダウンが、今、始まった。

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