"嫌なら出ていけと言った夫へ" 第2話
【02】 朝7半、のにった「売却物件」の板
翌朝、午735分。
女・のマンションの客で目を覚ました私のスマートフォンが、激しいバイブレーションで震えた。
画面を見ると、からの着信だった。
リビングにいるはずの娘が、なぜ話をかけてくるのか。
「お母さん! 起きてる!? ちょっとこれ見て!」
話のの声は、完全に裏返っていた。
通話を繋いだままメッセージアプリをくと、枚の写真が送信されてきていた。
差は、実の向かいにんでいる幼馴染の母親からだった。
写真に写っていたのは、見慣れた相沢の扉だった。
初の朝を浴びるコンクリートの塀。
その央に、昨まではも形もなかった、真しい板が堂々と打ち込まれていた。
鮮やかな黄と紺のライン。
央には、太い黒文字でこう印字されていた。
【売却物件】
・建物 専任媒介
株式会社産
「お母さん……これ、どういうこと!? お父さんと婚するって、そういうレベルの話だったの!?」
の鳴のような問いかけに、私はベッドから起きがり、さく息を吸い込んだ。
「予定より板の設置がかったみたいね。半からだとってたわ」
「は……? お母さんが頼んだの!?」
「ええ。昨夜、駅のコンビニから正式に子契約を結んだのよ」
その頃、実のでは、すでに修の号が響き渡っていた。
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ことの発端は、修が朝の聞を取りに玄関をた瞬だった。
扉の脇で、脚に乗ったスーツ姿の男が、属製の杭を打ち込んでいたのだ。
にはデジタルカメラと、周囲の幅を測るレーザー距計。
「おい貴様ら! のの敷で何をやっている!」
パジャマのに羽織を着た修が、血相を変えてびしてきた。
定退職してからというもの、所のを気にして装には倍厳しかった男が、乱れた髪のまま鳴り散らしている。
作業のにスーツを着たの営業マンが、驚いたようにを止めてをげた。
「あ、失礼いたしました。こちら、相沢様のお宅でよろしかったでしょうか?」
「当たりだ! 俺のだぞ! なんだその品な板は! 勝にの敷に杭を打ち込みやがって、警察を呼ぶぞ!」
修が板を力任せに揺さぶると、営業マン――産の副支と名乗る男が、慌ててバインダーをいた。
「申し訳ございません。しかしこちらは、昨ウェブから正式に机査定および専任媒介契約のご依頼をいただきまして……本朝番で物件写真の撮と板の設置に伺うはずとなっておりました」
「売却だと!? ふざけるな! 俺は何も頼んでない! 誰の許を得てそんな板をてている!」
修の鳴り声に、向かいのからカーテンがき、通がを止める。
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その線に気づいた修の顔が、屈辱で赤黒く染まっていく。
営業マンは眉をひそめ、元の類をめくった。
「誰の許と申しましても……法な所者、登記名義ご本様からの正当な委託でございますが」
「だから! その所者がここにいると言っているんだ!」
修は自分の胸元を親指で激しく突き刺した。
「俺が相沢修だ! 、こので暮らしてきた世帯主だ! 俺が売らないと言っているものを、どこの誰が勝に売りにせるって言うんだ!」
所の野次馬がざわめく、営業マンは怪訝そうに修の顔を見つめ、それからタブレット端末の画面に目を落とした。
法務局から取得したばかりの、産登記事項証。
端末の画面をスクロールした営業マンの表が、わずかに張る。
「……あの、相沢様」
「なんだ! くその板を引っこ抜いて失せろ!」
営業マンは、困惑と怜悧さが混ざりった線を修に向け、静かにをいた。
「お客様。変申しげにくいのですが……」