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"無償の介護係だった嫁" 第16話

【16】 曜の朝、玄関のでまったデイサービスの

契約を交わしてから、週が過ぎた。

曜の朝、午半。

のえ切った朝のが、マンションのリビングをるく照らしていた。

過、曜の朝は私にとって最も苦しいだった。

朝に起きて義母の着替えを伝い、

シーツを引っ剥がして洗濯を回回し、

週分の薬をマスのケースに仕分け、

昼には義母を抱きかかえるようにして浴へ連れてき、腰の激痛に耐えながら体を洗う。

それが私の『曜のルーティン』だった。

だが、今朝のリビングには、洗濯物のも、漂う湿布の匂いもなかった。

のでは、いピンクのカーディガンを着た義母が、さなトートバッグを膝に乗せて子に座っていた。

その表には、隠しようのない緊張とが張り付いている。

ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。

「おはようございます! デイサービス『ひだまりの郷』です!」

爽やかな若い女性スタッフの声が、インターホン越しに響いた。

義母の肩が、ビクッとねがった。

子の肘掛けを握る指先が、く張っている。

「……真奈美さん」

義母がか細い声で私を呼んだ。

私は寝から、ベージュのトレンチコートを羽織っててきたところだった。

には、品のA4サイズのビジネスバッグ。

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には、昨届いたばかりの医療事務のテキストと、真しい箱が入っている。

玄関のドアがき、紺のポロシャツを着たの介護スタッフが入ってきた。

「佐藤さん、おはようございます! 今はいいお気ですね。お迎えにがりました」

際よく体温と血圧を測り、体調の聞き取りをめるスタッフたち。

そのプロフェッショナルの無駄のないきを、義母は怯えたような目で見つめていた。

スタッフに抱えられ、子から玄関のステップへとをろす義母。

靴を履かせてもらう瞬、義母が急に振り返り、私の顔をじっと見つめた。

「真奈美さん……」

義母の唇が震えた。

「緒にってくれないかい……? 私、あんなところ初めてで……怖いんだよ」

、初めて病院の検査に連れてったと同じ、怯えた子どものような目だった。

私の胸の奥が、チクリと痛んだ。

ここで「私もについていきますね」と言ってしまえば、どれほど義母はするだろう。

どれほど『優しい嫁』でいられるだろう。

私はコートの襟を正し、義母のに静かに歩み寄った。

そして、しゃがみ込むと、義母の首元に巻かれたのマフラーの歪みを、指先でそっと直した。

「午には、またこの玄関まで送ってくださいますよ」

私の声は、穏やかで、しかし確固たる境界線を引いていた。

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「護師さんも常駐していますし、湯もあるそうです。丈夫ですよ、お義母さん。いってらっしゃい」

『緒にく』とは、言わなかった。

義母は私の目を見て、何事かを悟ったようにさく息を吐いた。

そして、覚悟を決めたようにさく頷いた。

「……うん。ってくるよ」

スタッフに支えられ、義母はゆっくりと玄関のへ踏みしていった。

マンションのエントランスには、の送迎ワンボックスカーがまっていた。

リフトがウィーンと音をてて子を持ちげ、義母の体が内へと収まっていく。

バタン、とスライドドアが閉まった。

のは、ゆっくりと朝の宅の通りへと滑りしていった。

玄関の脇でそれを見送っていた健司が、腕計に目を落とした。

ワイシャツの袖をまくり、にはゴミし用の半透の袋を持っている。

「真奈美」

健司が私を見た。

以の健司なら、違いなくこう言っていただろう。

『お、今暇なんだから、のために施設まで様子見にってやれよ』と。

だが、健司のからたのは、全く別の言葉だった。

「お、半から宿で授業だろ。もう鈴だぞ。急がないと急に乗り遅れるんじゃないか?」

私はハッとして自分の首の計を見た。

分。

「……本当だわ。ってきます」

「ああ。気をつけてな」

健司のい返信を背に受け、私はマンションの階段を駆けりた。

のたいが頬をかすめる。

カツカツとアスファルトを叩くパンプスの音が、驚くほど軽やかだった。

で初めて。

義母の介護が私のをれてきし、私の常が、私だけので始まった瞬だった。

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