"無償の介護係だった嫁" 第14話
【14】 ケアマネが机に置いた、残り3の契約同
「かしこまりました」
岸さんはく礼し、鞄から青いバインダーを取りした。
そのから、複写式の類が部、テーブルのに並べられた。
『通所介護・訪問介護利用契約同』
『座振替依頼』
「来の初からのサービス利用枠を押さえるためには、今週の曜、午までにこれらの類を事業所に提する必があります」
岸さんはペンを置き、カレンダーを指差した。
「今が曜ですから、猶予は残りです。曜の夕方を過ぎますと、デイサービスの定員枠がの方に回ってしまい、次回の受け入れはヶになります。その、政からの支援を分に受けることはできません」
曜まで。あと。
岸さんの言葉は、猶予であると同に、宣告だった。
「額万千円の費用負担、そして緊急の対応窓について、ご族で最終なを取り、こちらの『契約者』の欄にご署名とご捺印をお願いいたします」
岸さんはちがり、丁寧にお辞儀をして玄関へと向かった。
私が見送りのためにちがると、岸さんは玄関先で靴を履きながら、私にだけ聞こえるさな声で囁いた。
「真奈美さん。よく、ここまで踏み留まりましたね」
「え……」
「抱え込んで共倒れになるご族を、私は何百件も見てきました。
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あなたが放したからこそ、このご族は今、初めて本当のスタートラインにてたのですよ」
岸さんの温かい差しに、私の胸の奥で固く凍りついていたものが、わずかに溶けすのをじた。
リビングに戻ると、異様な静寂が満ちていた。
テーブルの央には、い契約類がたく置かれている。
健司は子に座ったまま、万をに握りしめていた。
その切っ先は、契約者の署名欄の数ミリで、刻みに震えたまま静止していた。
毎万。
で百万円を超える実費。
それを自分が背負うという現実のさに、健司の指は完全に凍りついていた。
横につ由も、青ざめた顔で自分の爪を噛み、言も発することができない。
(サインをすれば、俺のが消える)
(サインをしなければ、獄のような介護が再び俺の肩にってくる)
(だが……真奈美がもう度だけ、首を縦に振ってくれさえすれば――)
健司の線が、再び私の方へと彷徨いかけた。
そのだった。
ピピッ、と無質な子音がリビングに響いた。
ダイニングテーブルのに置いていた私のスマートフォンだった。
画面にポップアップが表示されていた。
『医療事務集講座 事務局より:最終続のご案内』
『受講料の決済確認が完いたしました。教材の発送および受講枠の確定まで、残り24です。
受講を辞退されるは、曜の正午までにお続きをお願いいたします』
画面の青いが、私の元をるく照らした。
健司がその画面に気づき、ハッと息を呑んだ。
健司のので、宙に浮いた万がカタカタと音をてて震えている。
「健司さん」
私はスマホをに取り、画面を伏せた。
「曜のまでよ。あなたがどうするかは、あなたが決めて」
私はそれだけ告げると、度も振り返らずに自分の部へ向かった。
背で、健司の荒い呼吸の音だけが、いつまでも止まらなかった。