"無償の介護係だった嫁" 第11話
【11】「額14万円?族がいるのに誰が払うんだ」
翌の曜、午。
リビングのチャイムが鳴り、域包括支援センターのケアマネジャー、岸さんが訪れた。
代半ばの、物腰の柔らかいベテランの女性だった。
ダイニングテーブルを囲むように、私、健司、そして目のに濃い隈を作った由が座った。
奥のでは、引き戸をしけた状態で、義母がベッドからそうにこちらを伺っている。
「佐藤さんの現の状況ですが、介護度は『介護3』ですね」
岸さんは元の資料をめくりながら、落ち着いたトーンで話し始めた。
「腿骨の術で歩が定、認能のは見られませんが、入浴、排泄、移に全介助または部介助が必です。ご族だけで支えるのは、体にも精神にも限界を超えています」
健司が浅く息を吐き、ネクタイを指で緩めた。
「ええ……ですから、プロのを借りたいんです。週に何回か、ヘルパーさんに来てもらったり、デイサービスにってもらえればと」
「承いたしました。真奈美さんから事にいただいた活リズムの記録を元に、ケアプランの素案を作成してきました」
岸さんは枚の見積を取りし、テーブルのに滑らせた。
そこには、々の介護を社会資源に委ねたの具体な数字が並んでいた。
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週3回のデイサービス(入浴・昼付き)
週2回の訪問介護(排泄介助・清掃)
週1回の訪問護(褥瘡処置・薬管理)
1回(2泊3)のショートステイ(レスパイトケア)
介護ベッド、子、すり等の福祉用具レンタル
の最段に引かれた太い赤線。
そこにかれた額を見た瞬、健司の息が喉元で詰まった。
「……は?」
健司がを乗りし、を指差した。
「じゅう、よんまん……? 額、万千円……!?」
由も目を丸くして見積を覗き込んだ。
「ちょっと待ってください! 介護保険って、割負担で使えるんじゃないんですか!? なんでこんなにいの!?」
「ご説いたしますね」
岸さんはじることなく、淡々とペン先で見積を指した。
「介護保険の対象となる介護報酬については、確かに割負担です。ですが、デイサービスの昼代、ショートステイの滞費や費、常活費は全額自己負担となります。また、さんの区分支限度額の枠を最限まで使う形になりますので、超えた分や保険サービスを含めると、この額になります」
「万……」
健司の額に、じっとりと脂汗が浮きた。
「毎、万がていくのか……? なんでそんなを……。族がもいるのに、なんで赤のにそんなを払わなきゃいけないんだよ!」
健司の声が裏返った。
万円。
それは、健司の遣いどころか、ボーナスを切り崩さなければ捻できない額だった。
由のパート代のほぼ全額に匹敵する額だった。
健司と由の線が、無識のうちに、すがるように私へと向けられた。
「真奈美がにいてくれれば、この万円は円もかからない」
「お義姉さんがタダでやってくれれば、誰も財布を痛めずに済む」
の瞳に、剥きしの打算が浮かんでいた。
「真奈美……」
健司が震える声で私を呼んだ。
「お、パート先で医療事務の勉を始めたって言ってたよな? あれを諦めて、今まで通りでてくれれば……この万は浮くんだぞ? 俺たちの活が守られるんだ」
私は見積から目をし、夫の目をたく見据えた。
、私が差ししてきたと労働の対価が、ようやくこの男たちの目のに「数字」として突きつけられたのだ。