"無償の介護係だった嫁" 第8話
【08】「俺たちも伝うから、もうに戻ってこいよ」
由の涙の説得により、そのの夕方、私たちは初めて『族会議』というものをいた。
決まったのは、過酷な親族ローテーションだった。
曜と曜は由。
曜と曜は健司。
曜ののみ、私が病院への付き添いと薬のセットを担当する。
は健司と由で半ずつ交代。
由のマンションはエレベーターがなく、夫のい反発もあったため、義母の活拠点は再び私たちのマンションに戻されることになった。
ただし、条件はつだけ。
『自分の担当以は、の誰かが義母の部に入り、排泄も事もすべて完結させること』。
そのルールが始まって、最初の曜。
健司の担当だった。
健司は休暇を取って義母の部に籠もった。
朝のオムツ交換で義母に激しく抵抗され、
昼の刻み作りにかかり、
夕方には義母がポータブルトイレからちがれなくなり、に半を打ちつけた。
私は自分の寝に籠もり、ドアの向こうから聞こえる義母の叫び声と、健司の荒い号を、を塞いでやり過ごした。
元のノートには、医療事務講座の予習テキストが広げられていた。
文字を目で追いながらも、臓は鐘のように打ち鳴らされていた。
夜。
リビングの気が暗く灯る、私が喉の渇きを覚えて部をると、
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ダイニングテーブルで健司が、缶ビールを煽っていた。
テーブルのには、コンビニの惣菜の空き容器と、みかけのビール缶が本。
健司の体からは、義母の湿布と排泄物の臭いが混ざった、独特の活臭が漂っていた。
ネクタイを締め、スマートに営業先を回っていた男のはどこにもない。
やつれ果て、目の焦点がっていなかった。
「……起きてたのか」
健司が掠れた声で私を見た。
私は黙って蔵庫から麦茶を取りし、グラスに注いだ。
「なあ、真奈美」
健司がプシュッとしい缶ビールをけ、テーブルに肘をついた。
「もう分だろ」
「何が?」
「俺も反省したよ。由も反省してる。母さんの介護がこんなに労働だなんて、ってもみなかった。おの苦労が、に染みてよく分かったよ」
健司は自嘲気に笑い、ビールを気にみ干した。
そして、さも寛な提案でもするかのように、私を見げた。
「だからさ、もうを張るのやめようぜ。のがギスギスして、母さんも怯えてる。おだって、こんなの見てて辛いだろ?」
「……」
「から、普通に戻そう。俺たちもさ、みたいに丸投げはしないから。のどっちかは俺がオムツ替えてやるし、由だって週に回は飯作りに来るって言ってる。俺たちもちゃんと伝うからさ」
健司は満そうに頷き、私の首にそっと触れてきた。
「だから、おがメインに戻ってくれよ。俺たちが伝えば、今まで通りうまく回るだろ? な?」