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"無償の介護係だった嫁" 第7話

【07】「今引き受けたら、また元の獄だよ」

「……帰るわね」

私はエプロンを畳んでバッグにしまい、玄関へ向かった。

背では義母のすすり泣きと、健司が「母さん、泣くなよ……」とを抱えて呟く声が聞こえていた。

がり框に腰をろし、スニーカーにを入れる。

靴べらを握るが、微かに震えていた。

『鬼嫁』という言葉が、ので何度も反響する。

(本当にこれでいいのだろうか)

(私がして自宅へ連れ帰れば、今夜からまた、このたちは平な常に戻れるのに)

(私がたった、自分のを諦めさえすれば――)

の奴隷のような習性が、私の背をく引き留めようとする。

自責ので呼吸が浅くなり、胃の奥がキリキリと痛みした。

私はドアノブにを伸ばし、そのままち止まってしまった。

あと歩、振り返って「からうちに戻しましょう」と言ってしまいそうな自分に、恐怖していた。

そのだった。

「お義姉さん」

背から伸びてきたたいが、私のコートの袖をく掴んだ。

振り返ると、そこにっていたのは由だった。

ボサボサの髪に、目のには濃い隈。

爪は荒れ、唇は乾燥して血の気が引いている。

昼、専業主婦として綺麗に着飾っていた義妹の面は、どこにもなかった。

「……由さん?」

由は玄関のに素でりち、私の目をまっすぐに見つめた。

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その瞳は充血し、涙で潤んでいたが、どこか異様なを帯びていた。

「引き受けちゃ、ダメだよ」

掠れた、い声だった。

「え……?」

「今、お義姉さんがだってって母さんを連れて帰ったら……にはまた、元の獄に戻るだけだよ」

由の指先が、私の袖をさらにく握りしめた。

「私ね、今会社から話があったの。『急な欠勤が続くなら、来期のプロジェクトからはれてもらう』って。夫からもLINEが来たわ。『部が寄り臭い、いつまで居座らせる気だ』って」

由は自嘲するように元を歪めた。

「たったよ? たった、母さんの面倒を見ただけで、私の活も仕事も夫婦関係も、全部壊れそうになってるの」

「由さん……」

「私、最だったよ」

由の目から、粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。

「今まで『お義姉さんいつもありがとう』って言ってたの、全部嘘だった。ありがとうって言えば、自分が何もしなくて済むから言ってただけ。お義姉さんがどれだけのものを犠牲にしてたか、見ないふりをしてたの」

由は私の袖をし、玄関の壁にをついた。

「だから、絶対に折れちゃダメ。兄ちゃんに押し付け返して。私も……自分の母親なんだから、逃げないで向きうから。今お義姉さんが引き取ったら、私と兄ちゃんは、お義姉さんのをいつぶす化け物のままだよ」

、全な野から私に謝の言葉を投げつけていた義妹が、

初めて自分ので沼にち、私を解放しようとしていた。

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