"無償の介護係だった嫁" 第6話
【06】「真奈美さん、昔はそんなたいじゃなかった」
、ようやく義母の入浴と着替えが終わった。
ずぶ濡れのTシャツを着替え、肩で息をする健司は、リビングのにへたり込んでけなくなっていた。
義母は由のベッドに横たわり、シーツを顎まで引きげてさく震えている。
私は脱所から、処方されたばかりの褥瘡用の膏とガーゼを持ってきた。
「健司さん。背の赤くなっているところに、これを塗って」
チューブを差しすと、健司は汚いものでも見るかのように首を引っ込めた。
「……俺、もう無理だ。腰がおかしくなりそうだし、吐き気がする……。おが塗れよ。女同士だろ」
「健司さん、あなたの親よ」
「だからって限度があるだろ! 息子に母親の尻を見せることが、どれだけ屈辱かおには分からないのかよ!」
「じゃあ、の親のオムツを替え続けた私の屈辱は、考えたことある?」
私のい声に、健司は息を呑んで押し黙った。
その、ベッドのの義母が、ポロポロと涙をこぼし始めた。
「……真奈美さん」
掠れた、々しい声だった。
を過ぎてさくなった義母が、めしそうに、すがるように私を見げていた。
「真奈美さん、昔はそんなたいじゃなかったのに……。どうして急に、こんな悪をするの? 私、あなたに何か悪いことしたかしら……?」
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胸の奥が、ぎゅっと締め付けられた。
爪がくなるほど、私はエプロンのポケットので拳を握りしめた。
「いつも優しく『お義母さん、丈夫ですよ』って言ってくれたじゃない……。健司にも由にも迷惑かけないように、あなたが全部やってくれてたじゃないの……。私をこんな目に遭わせて、楽しいの……?」
泣きじゃくる義母の顔を見ていると、の奥で過の自分の声が蘇る。
『丈夫ですよ、お義母さん』
『私がやりますから、座っていてくださいね』
あの、私が発した無数の「いい嫁の言葉」が、いま鋭い刃となって私の喉元に突き刺さっていた。
私が先回りして、私がして、私が全部引き受けてしまったから。
このは、自分がのを削ってきていることに、ミリも気づかずにここまで来てしまったのだ。
「悪じゃありません、お義母さん」
私は声の震えを必に抑え込み、徹な仮面を貼り直した。
「これが、現実です。私がを引けば、これがあなたの族の本来の姿なんです」
「ひどい……なんてたい子なの……! 鬼嫁よ、あなたなんて鬼嫁だわ!!」
義母は枕に顔を埋めて叫んだ。
その罵倒を聞きながら、私は自分の臓が、氷のように静まり返っていくのをじていた。
もう、あの甘い罠には度と戻らない。