"無償の介護係だった嫁" 第2話
【02】「主介護者の欄に、由の名をいたわよね」
「類……? なんの類だよ!」
健司の苛った声に、私は鞄から取りした枚の用を広げた。
数に病院の域連携から渡された、『退院支援・宅療養計画』の控えだった。
退院の療養環境や、薬管理、介護サービスの利用計画が細かく記載された公な類だ。
その最部にある太枠を、私は指先でなぞった。
「『主たる介護者』の欄よ」
「あ……?」
「そこにお義母さんの女、佐藤由っていてあったわ。続柄は実子。連絡先も由さんの携帯番号だった」
話の向こうで、健司の言葉が瞬詰まった。
バツの悪そうな気配が、波を通じて伝わってくる。
「……あ、あれはだな! 病院の相談員に『平のに連絡がつきやすいをいてください』って急かされたからだ! おはパートにてて話にられないこともあるだろ? 由は専業主婦でに融通が利くから、とりあえず名を借りただけだ!」
「とりあえず、ね」
「そうだろ! ただの類の続きじゃないか! なんでそんな些細なことで騒ぎてるんだよ!」
些細なこと。
健司はいつもそうだ。
自分がサインする類のみも、そこにかれた文字が何をするのかも、度だって真剣に考えたことがない。
「健司さん。、お義母さんが最初の脳梗塞で倒れたもそうだったわね」
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私の声は、自分でも驚くほど静かだった。
「介護認定の申請も、ケアマネジャーとの契約も、全部『申請者』や『族代表』の欄にはあなたの名がかれていた。でも、毎オムツを替えて、の世話をして、デイサービスの送りしをしたのは誰?」
「それは……おの方が女同士で気兼ねないし、先も器用だから……」
「あなたがいたんでしょう? 今回は由さんの名を」
私は遮った。
「病院の先や護師さん、ケアマネジャーはみんな、あの類を見てくのよ。退院の指導も、薬の受け渡しも、緊急の連絡も、すべて『主たる介護者』である由さんにするように申し送りされているわ」
「だから、それは形式の話で――」
「形式を事実にわせるのよ」
私ははっきりと告げた。
「主介護者として名をいたが、主介護者として責任を持ってるべきよ。名だけ実子の名をいて、柄や親孝の顔だけして、汚れたシーツを洗うのは全部嫁の役目なんて、もう度とやらない」
「真奈美! おい、待てって! 母さんがパニックになってるんだよ!」
「今の夕方、薬の覧とませ方のメモだけは由さんのLINEに送っておくわ。じゃあ、仕事に戻るから」
私は通話終ボタンを押し、そのままスマートフォンの源を落とした。
指先が微かに震えていた。
、度たりとも逆らわず、「丈夫です、私がやりますから」
と笑って引き受けてきた従順な嫁の殻を、いま自分ので叩き割ったのだ。
私は呼吸をして、鞄の底から別のファイルを取りした。
そこには今朝、ネットで申し込みを完させた類が入っていた。
『医療事務・調剤報酬請求事務 集講座』
受講始は、ちょうどヶ。
受講料の万千円は、私のわずかなパート代のへそくりから括で振り込み済みだった。
ヶ、私は介護ベッドの脇ではなく、あの教の机に座る。
何があっても、もう引き返すつもりはなかった。