みかん小説
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"毎日届く「パパを来させないで」" 第17話

差しされた麦茶と「お腹空いたか?」

をた美咲のが、父親の姿を捉えてわずかに止まった。

浩司はネクタイをし、ワイシャツの袖をまくっていた。

からりて、数歩こちらへ歩み寄ろうとして、ふといとどまったようにそのにち止まる。

その顔には、隠しようのない焦燥と、が張り付いていた。

面談で何を話したのか。

妻と娘ので、どんな決定がされたのか。

自分がどれほど悪く言われたのか。

これまでの浩司なら、駆け寄ってきて真っ先にそれを問い質していただろう。

美咲の腕を掴み、私の顔を睨みつけ、探るような言葉を連射していたはずだった。

浩司はごくりと喉を鳴らした。

をきかけ、何かを言いかけて――そして、その言葉を呑み込んだ。

浩司は踵を返し、の助席のドアをけた。

から取りしたのは、コンビニのビニール袋だった。

再びこちらへ歩み寄ってきた浩司のには、本のペットボトルが握られていた。

えて滴のついたものではない。

常温の、麦茶のボトルだった。

浩司は美咲の目ので、ゆっくりと膝を折った。

娘と目線のさをわせるようにして、しぎこちなく麦茶を差しす。

「……喉、渇いただろ」

美咲は、差しされた茶のボトルをじっと見つめた。

浩司の瞳には、かつて内で見せていたような、粘つくような詮索のはなかった。

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ただ、目のの娘が疲れていないか、それだけを配する、器用な父親の目だった。

「面談、かったな」

浩司の声は、微かに震えていた。

「先、何て言ってた?」とも。

「ママは何て言ってた?」とも。

浩司は、聞かなかった。

ただ、喉の奥から絞りすように、こう続けた。

「……お腹、空いたか?」

その言を聞いた瞬、私の目がツンとくなった。

夫婦の勝ち負けでもない。

スパイの報告を求める言葉でもない。

ただ、放課にお腹を空かせている歳の子どもに対する、最も当たりで、最も純粋な問いかけ。

美咲の張っていた肩から、スッと力が抜けた。

美咲は両で、常温の麦茶のボトルを受け取った。

「……うん。お腹、空いた」

「そうか」

浩司の顔に、恰好で、泣き笑いのような笑みが浮かんだ。

「駅のパンで、おが好きだったチョココロネ、買ってある。のにあるから……うか?」

美咲はしだけ線を彷徨わせ、それからさく頷いた。

「べる」

「よし。じゃあ、ろの席に乗れ」

浩司はちがり、部座席のドアをけた。

乗り込めと急かすでもなく、ドアノブを持ったまま、美咲が自分で乗り込むのを待っていた。

美咲はランドセルを背負い直すと、私の方を振り返った。

「ママ、先におばあちゃんのに戻ってていいよ。パンべたら、パパに送ってもらうから」

「……ええ。分かったわ」

私は微笑み、頷いた。

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美咲が部座席に乗り込み、浩司がゆっくりとドアを閉めた。

内から、美咲がパンの袋をけるさな仕が見えた。

浩司は運転席に乗り込む、の根越しに、私の方をまっすぐに見据えた。

敵も、侮蔑も、そこにはなかった。

ただ、自分が取り返しのつかない過ちを犯したことをっている男の、痛々しいほどの諦があった。

「真由美」

「はい」

「……弁護士の連絡先、ラインで送ってくれ。

条件は、あいつ……美咲の活を番に変えない形で、話しおう」

「わかりました」

浩司はく息を吐き、運転席へと乗り込んだ。

セダンがゆっくりと発し、宅の通りへと消えていく。

私はそのテールランプを見送りながら、く、く息を吸い込んだ。

終わったのだ。

お互いを監しい、子どもを弾除けにして傷つけっていた、獄のような々が。

私たちは、夫婦としては完全に失敗した。

度と元に戻ることはない。

けれど、美咲の親としての責任だけは、これからゼロからやり直さなければならないのだ。

互いに子どもを巻き込まず、自分たちのでつことで。

私はの澄んだ空を見げ、実へと続くを歩ずつ歩き始めた。

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