"毎日届く「パパを来させないで」" 第16話
「学からの連絡は、直接別々に伝えて」
午。
学の階にある、の教。
机を向かいわせにした面談の席には、担任の佐々先が座っていた。
穏やかで、徒の観察にけた代半ばの女性教諭だ。
「美咲さん、普段から係の仕事も責任を持ってやってくれていますし、成績も非常に定していますよ」
先は元の成績表を見せながら、温かい声で言った。
美咲は背筋を伸ばし、膝のに両を置いて、静かに話を聞いている。
「希望されている公貫ですが、適性検査の対策を今の期からめていけば、分に狙える範囲だといます。お母様、ご庭での学習の様子はいかがですか?」
「あ……はい。本が自分でスケジュールをてて、毎決まったにめています」
私は精杯、落ち着いた母親の声を識して答えた。
話は順調にみ、予定されていた分が経過しようとしていた。
先が類をまとめ、ふと私の顔、そして隣に座る美咲の横顔に線を落とした。
「お父様は、本お仕事のご都がつかなかったのでしょうか?」
先の何気ない問いかけに、私の臓がさくねた。
「ええ……自営業で、どうしてもせない用件がありまして」
反射に、嘘の言い訳がをついてそうになった。
『普通の、何の問題もない庭』を演じるための、いつもの欺瞞。
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その、横に座る美咲の指先が、スカートの布をギュッと握りしめるのが見えた。
私は、息を呑んだ。
まただ。
また私は、の世体を守るために、子どもので当たりのように嘘をつこうとしていたのだ。
私はいたを、ゆっくりと閉じた。
先が怪訝そうに眉をげる。
私が何も言えずにいると、隣から、乾いた澄んだ声が響いた。
「先」
美咲だった。
娘はまっすぐに顔をげ、担任の先の目を正面から見つめていた。
「私の、パパとママが別れて暮らすことになりました」
教の空気が、ピンと凍りついた。
先の元で、ペンのく音が止まる。
「美咲……」
私の制止の声を、美咲は穏やかな、けれど絶対に揺らがない瞳で受け流した。
「だから、これから学で配られるのプリントや、集の案内、面談のおらせは……美咲を通さないでください」
美咲の言葉は、淀みなく、驚くほど然としていた。
「学からの連絡は、パパとママのそれぞれに、直接、別々に送ってください。
美咲に『パパに見せておいて』とか、『ママに伝えておいて』って言わないでほしいです」
先は目を見張り、それから息を呑んで美咲を見つめた。
「美咲さん、それは……」
「がお互いに言いたいことがあるなら、自分で直接やり取りしてください」
美咲は、くをげた。
「私は、の連絡係をやめます」
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涙は滴も流れていなかった。
その声には、りも、みもなかった。
ただ、背負わされ続けてきた荷を、自らので面にろすのような、静かな決だけがあった。
私は子の肘掛けを握りしめ、唇を噛んだ。
恥ずかしさやけなさを通り越して、胸の奥からいものが込みげてきた。
美咲は、公の所で宣言したのだ。
壊れかけた親たちの共犯関係から、完全に脱退することを。
自分自を守るために、たちが作った歪な結界を、自らの声で打ち破ったのだ。
佐々先は、しばらくの、真剣な差しで美咲を見つめていた。
それから、く息を吐き、静かに頷いた。
「分かりました、美咲さん」
先は類に本の線を引き、力くメモをき込んだ。
「これからの学からの連絡事項は、保護者の方それぞれの連絡先へ、学から直接郵送およびメールで対応します。美咲さんに類の渡しを頼むことは、絶対にしません」
「……ありがとうございます」
美咲が、もう度をげた。
面談が終わり、教をて階段をりる、美咲の取りは驚くほど軽かった。
私たちが廊を歩く音だけが、静かに響いていた。
舎をて、たいのが吹く正のへと向かう。
の、しれたのに、見慣れたシルバーのセダンがまっていた。
運転席のドアがき、浩司がからりてくる姿が見えた。